33イニングで援護点「1」 ノーノーでも勝てぬ…中日右腕を襲う“12球団最大の悲劇”

中日・柳裕也【写真:荒川祐史】
中日・柳裕也【写真:荒川祐史】

中日・柳裕也の援護率は2.49…後半戦は好投しても勝てぬ試合ばかり

 中日の柳裕也投手が、なかなか白星に恵まれない。後半戦はここまで5試合に先発し、防御率1.62、4度のクオリティスタート(QS、6イニング以上で自責点3以内)と試合を作りながら0勝3敗。13日の広島戦(バンテリンドーム)では9回を投げて無安打無失点の快投を見せるも、打線の援護なく快挙を逃した。稀に見る“不運ぶり”は、データでも顕著に表れている。(記録は8月24日時点)

 セイバーメトリクスの指標を用いてプロ野球のデータ分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)によると、9イニング当たりの援護点(援護率)を示す「RS/9」で、柳は「2.49」。規定投球回に到達している投手では12球団ワーストの数字だ。最も援護点が多いのは「5.15」の種市篤暉投手(ロッテ)で、2倍以上の差がついている。

 3勝6敗、防御率3.21でシーズンを折り返した柳にとっては、報われない夏となった。後半戦33イニングで援護点はわずか「1」。7月23日の広島戦(マツダスタジアム)で7回に1点をもらって以来、27イニングも援護がなく、その期間は実に1か月にも及んでいる。

 中日打線は、もともと得点力不足が指摘されていた。DeNAから現役ドラフトで加入した細川成也外野手がチームトップの17本塁打と気を吐いているものの、期待していた新助っ人たちが戦力にならず、チームの総得点はリーグワーストの「316」。1試合当たり3得点にも満たない。チームの他投手の援護率を見ても、高橋宏斗投手が「2.92」で、小笠原慎之介投手が「3.20」。それぞれ12球団ワースト2位と6位だ。

 柳は過去2度の2桁勝利を誇る先発陣の柱。黒星が6つ先行しても、ローテを守り続けている。今季残り30試合余りとなる中、潮目が変わる日は来るのか……。チームメートを信じて腕を振り続けるしかない。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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