大谷翔平の二刀流を「また見たい」 元エ軍マーシュ、移籍後も胸に抱く古巣愛と“金言”

エンゼルスの大谷翔平(左)とフィリーズのブランドン・マーシュ【写真:ロイター】
エンゼルスの大谷翔平(左)とフィリーズのブランドン・マーシュ【写真:ロイター】

昨季途中までエンゼルスに所属したマーシュ…古巣との試合は「カレンダーに印を」

 トレードマークの長髭はエンゼルス時代と変わらない。フィリーズのブランドン・マーシュ外野手は、かつてのチームメートと再会の喜びを分かち合った。28日(日本時間29日)からの3連戦。昨年8月にトレードされてから、初めての古巣との戦い。プライベートでも仲の良かった大谷翔平投手との再会も心待ちにした。

 試合前、エンゼルスのダグアウト前を訪れたマーシュには、かつてのチームメートがみんなが集まってきた。1人1人と熱い抱擁。フィル・ネビン監督も5分以上話し込んだ。マーシュにとっても特別な日。「興奮しているよ。カレンダーに印をつけていたんだ」。マイナー時代、苦楽を共にした仲間も多く、「会えて楽しいものだ」と感慨深そうだった。

 エンゼルス時代は、プライベートで焼き肉に一緒に行くなど、大谷とも親しく交流した。23日に右肘の靱帯損傷が発覚した時は「胸が張り裂けそうだった」と落ち込んだ。「彼は僕の面倒をよく見てくれたし、僕によくしてくれた。彼は信じられないようなチームメートで、友人で、ものすごい選手だから、そういう選手がプレーするのを観たい」。

 大谷の怪我が発覚した後、あえてメッセージは送らなかった。「今、日々十分に忙しいから、時間を少しあげたいしね」。仲がいいからこその配慮だった。投手としては今季絶望で、手術の可能性や今後の二刀流継続の可否についても噂されている。「大谷は今後も二刀流に挑戦すると思う?」という質問には、少し間を置いてから、こう答えた。

「それは彼が決めることだ。ただのファンとしては、彼が戻ってきた後も投げて打つのを、とても見たいけれどね。ただの野球ファン、ただショウへイ・ファンとしては、彼が全部やるのを見ることができたら最高だ」

フィリーズのブランドン・マーシュ【写真:ロイター】
フィリーズのブランドン・マーシュ【写真:ロイター】

フィリーズは「とても居心地がいい」…移籍前に大谷からもらったアドバイス

 昨季途中にフィリーズに移籍したマーシュは、同年リーグ優勝に貢献し、今年もナ・リーグ東地区2位、ワイルドカードで1位につけている。「とても居心地がいい。球場も街も最高だし、ファンは毎晩球場に来てくれる。最高だよ。野球をするのに楽しい場所だ」。自身も28日(同29日)現在で107試合に出場し打率.291、9本塁打、47打点。打撃好調の理由は大谷からの“金言”だった。移籍前、最後に受けたアドバイスが、膝の使い方だった。

「ボールを打つ方向に(膝を)押し出せ、と彼に言われたんだ。僕の下半身が少しソフトすぎる。だから、後ろの膝を勢いよく押し出せ、と。多分それが一番大きかったかな」

 実際にトレードで移籍すると、フィリーズの打者たちは大谷の言っていたように、膝を押し出すスイングをしていた。「多くの人がそうしていたし、彼もそうしていたからから、これで合っているに違いないと思った」。確信に変わった。

 移籍後は日本のファンやメディアと話す機会も減った。それでもエンゼルス時代に受けた応援は忘れない。「みんなの愛と応援に感謝しているよ。みんなの前でプレーができて、とても楽しかった。今後のことが楽しみだし、この関係性が今後も続いていくことを願っている。みんなのことをとてもありがたく思っている」。

 最後は「アリガトウ、アリガトウ」と、メディアにも日本語を披露してくれた。ミーティング前のわずかな時間でも真摯に対応する25歳。チームが変わっても愛される理由が分かった。

著者プロフィール
○川村虎大(かわむら・こだい)1998年2月、茨城・土浦市出身。土浦一高から早大に進学。早大では軟式庭球部に所属するかたわら、ソフトテニス専門誌に寄稿。2021年からFull-Countに所属し、2023年は第5回WBCを取材。その後、エンゼルスを中心にMLBを取材している。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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