最下位相手に痛恨負け越し 専門家が指摘、流れを引き渡した広島バッテリーの“選択”

広島・新井貴浩監督【写真:荒川祐史】
広島・新井貴浩監督【写真:荒川祐史】

今季初めて中4日で先発した九里が力投も報われず

■中日 3ー0 広島(3日・マツダスタジアム)

 広島は3日、マツダスタジアムで行われた中日戦に0-3で敗れた。最下位相手に痛恨のカード負け越しで、首位・阪神とのゲーム差は「7.5」に広がった。8回の2失点で勝負ありとなったが、野球評論家の新井宏昌氏は「バッテリー有利の場面で、相手に簡単に犠打を成功させてしまった」と語り、この試合を決定づけた場面を振り返った。

 今季初の中4日で先発した九里亜蓮投手の力投は報われなかった。走者を背負いながらも粘りの投球で5回7安打1失点(自責0)に抑えたが、打線の援護なく6敗目。1点ビハインドの8回には4番手の島内颯太郎投手が1死二、三塁から、代打・後藤に右翼線2点適時打を浴び試合は決まった。

 終盤まで僅差の展開となった1戦を新井氏は「広島はここまでベストメンバーが揃わない中でも、素晴らしい戦いを見せていた。ただ、阪神を追いかけるうえで、最下位相手に負け越しは痛い。8回の失点はもったいない部分もあった」と指摘した。

 8回の場面を振り返る。先頭の宇佐見、石川に連打を許し無死一、二塁のピンチの場面で、立浪監督は石垣に対し犠打のサインを送った。初球、2球と三塁側へのファウルとなったが、追い込んでからの3球目で犠打を決められた。続く代打・後藤にタイムリーが生まれて、万事休す。新井氏は石垣の打席での広島バッテリーの配球に注目する。

「打者としては一番プレッシャーがかかる場面。三塁側に直球を2度失敗し後がない。守り側とすれば何とか失敗させるか、作戦を変更させたいところ。だが、3球目も同じ直球で甘いコースに投げ、簡単に成功させた。球種や配球を変えることも必要。結果論になってしまうが、もったいない場面だった」

中日は柳が7回途中無失点の力投で4勝目

 広島としてはAクラスを死守し、その後の短期決戦(クライマックスシリーズ)を見据えている。仮にCSファイナルまで進み、1勝のアドバンテージがあるチームを相手にCS突破を目指すには僅かなミスが命取りになる。「ヒット2本打たれるのは仕方ない。この日の場面もそうだが、防げる可能性があるところは簡単に終わらせてはいけない」と新井氏。

 一方、中日は好投も勝ち星に恵まれなかった先発・柳が7回途中無失点の力投で4勝目を挙げた。リリーフを含め投手陣が奮闘したが、攻撃陣は6回無死二、三塁の好機で無得点に終わるなど課題は残った。

「先頭の宇佐見は左翼線へ安打を放ったが単打に終わった。二塁を狙う姿勢も大事になる。1死二、三塁の場面では柳の二ゴロで三走としてホームを狙えなかったか。タイムリーが出ない時にどのようにして1点を取りに行くかも考える必要があるのではないでしょうか」

 広島は5日からDeNA、阪神の上位を争う2チームとの6連戦。現状は4番・西川龍馬外野手を欠く苦しい状況だが、ペナントレース終盤に意地をみせたいところだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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