米国撃破を呼んだ2人は「運命」 “ライバル”が6年ぶり同僚も…「小学生からの仲」

侍U-18代表の前田悠伍(左)と森田大翔【写真:荒川祐史】
侍U-18代表の前田悠伍(左)と森田大翔【写真:荒川祐史】

前田と森田はライバルでありながら“同僚”

 高校日本代表「侍ジャパン」は3日、台湾(台北)で行われている「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」で米国に4-3で勝利した。先発した前田悠伍投手(大阪桐蔭)が6回途中4安打無失点の好投で試合を作り、スーパーラウンド進出へ王手をかけた。強豪・米国撃破の裏には、6年ぶりに同僚となった森田大翔内野手(履正社)とのドラマがあった。

 劇的勝利の直後、前田は視線を遠くにやった。森田の姿を探すように「本当に頼もしい。オリックスJr.のときのチームメート。(初回の適時打で)助けてくれたので、自分が応えるしかないなと思っていました」と感謝の言葉を並べた。

 欲しかった先制点をプレゼントしてくれた。初回2死一、二塁で森田はレフトへ適時三塁打を放った。森田の激走を見た前田も、思わずガッツポーズ。同じ色のユニホームを着て、歓喜を味わうのは小学6年時以来、6年ぶり。「経験できないことですし、運命というか。小学生(の頃)から仲がいいので、頼もしい存在の1人です」と深く頷いた。

 84球の力投には、秘めた闘志が宿っていた。今夏の大阪府大会決勝で、大阪桐蔭は履正社に0-3で破れた。甲子園出場を果たすことができず、前田は「夏に良い結果が出せずに、ジャパンに選んでもらって……。良い結果を出すしかないと、夏(大会)が終わってすぐグラウンドに帰って練習していた。その結果が出ている。やってきてよかった」と胸をなで下ろした。

 聖地には届かなかったが「いつまでもグズグズ言っていても、何も変わらない」と、今大会に全てをかけた。今大会で初めてマウンドに上がるも「緊張感はなくて、米国と(試合)はなかなかできないこと。楽しもうと思っていました」。泥だらけになっても、幾度も立ち上がる。ニコリと笑う顔は、少年のままだった。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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