藤浪晋太郎は「英語の息遣いを理解している」 番記者が証言したクラブハウスでの努力

オリオールズ・藤浪晋太郎【写真:Getty Images】
オリオールズ・藤浪晋太郎【写真:Getty Images】

オリオールズに移籍して約1か月半…地元記者に普段の藤浪を聞いた

 渡米してから約5か月で新天地へ。7月にアスレチックスからトレード移籍したオリオールズの藤浪晋太郎投手は本拠地を東海岸に移し、新たな同僚たちと首位争いをするチームで奮闘している。慣れない土地で順応するために必死で努力する姿を、番記者は見ていた。

 4日(日本時間5日)から敵地で行われているエンゼルスとの3連戦。試合前には一人でトレーニングルームに籠って準備をする藤浪の姿があった。「普段からブルペンでも、どんな状況でも、いけるように準備はしているので」。5日(同6日)は1点リードの延長10回無死二塁から登板し、2三振を奪うなど3者凡退。厳しい場面を締めた試合後も、落ち着いた表情で取材に応じていた。

 この日の試合前、記者は地元ネットメディア「ボルティモア・バナー」のオリオールズ番アンディ・コスカ記者と食事をともにする機会があった。加入して約1か月半。コスカ記者に藤浪について聞くと、「あまりに早く習得したのには目を見張った」と英語の上達に驚いていた。

 日本選手の会見は、基本的に米メディアと日本メディアを別々に行うことが多い。藤浪は鎌田一生通訳をつけて取材を受けていたが、米記者の目を見て頷き理解しているようだった。取材後には通訳なしで記者と直接話す場面もあった。

 コスカ記者も藤浪とは英語で話すという。そして「なぜ英語を習得することが大切だったか」と質問を投げかけたことがあった。藤浪の答えは「クラブハウスの一員であることを実感したかったから。選手たちやコーチ陣ともっと関われるように英語を習得した」だった。同記者は続けて「その時、彼が英語の息遣いを理解していたんだ」と感心していた。

現在はチームメートのクーロムと英語の勉強「スラングもだいぶ覚えたようだ」

 アスレチックスの入団会見では「Call me Fuji,like Mt.Fuji」と流ちょうな英語を披露し、オリオールズ加入後は、ダニー・クーロム投手と互いの言語を教えあうのが日常になっている。藤浪は日本語を教え、クーロムは英語を教える。スラングなども教えあい、クーロムはトレーニングをする藤浪の姿を見て「Yoked(ムキムキ)」を教わっていたという。「シンタロウはチームに非常によく溶け込んでいる。スラングもだいぶ覚えたようだ」。

 当の本人は「みんなすごいよく話しかけてくれますし、チームの輪に入れようと積極的に話しかけてくれるので、すごくやりやすく、やらせてもらっています」。そう周りに感謝し謙遜するが、それも自らが進んで英語を勉強し、チームになじむ努力があったからだろう。

 阪神最終年の2022年は16登板。メジャー移籍を決断した際は、様々な声が飛んだ。ただ、藤浪にとっては、新天地で心機一転ではない。新たな課題を乗り越えることを積み重ねて今がある。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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