“馬淵の教え”信じて短く持ったバット 負けられぬ韓国戦…冴えた知将の観察眼

知花慎之助に声をかける侍U-18代表・馬淵史郎監督(右)【写真:荒川祐史】
知花慎之助に声をかける侍U-18代表・馬淵史郎監督(右)【写真:荒川祐史】

韓国投手のビデオを見た馬淵監督「決め球が内角の直球だったんですよ」

 幾度も勝ちにこだわってきた知将の助言だった。高校日本代表「侍ジャパン」は7日、台湾(台北)で行われている「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」のスーパーラウンド初戦で韓国に7-1で勝利した。先制打を含む3打数2安打4打点と躍動した知花慎之助外野手(沖縄尚学)は「(期待に応え)ホッとしています」と胸をなで下ろした。

 馬淵史郎監督の一言が脳裏をよぎった。「内角、バットを短く持って狙え」。2回1死二、三塁、7番・知花が左翼手の頭上を越す2点適時三塁打を放ち、三塁ベース上で渾身のガッツポーズを決めた。捉えたのは4球目、内角にきた145キロの直球だった。

「その前のボール(2球目)でバットを折られて、同じ球がきたので、次はやってやろうという気持ちで。なんとか打ててホッとしています。うれしい気持ちでいっぱいでした」

 指揮官からの“司令”に応えようと、力んでいた。2球目の内角144キロ直球でバットを折られた。金属バットから木製バットに持ち変えて、およそ1か月。「バキッと音が鳴ったので『あ、折られた……』という感じでした」。苦笑いで新しいバットをベンチに取りに戻ると「バットに当てれば1点が入るぞ」と再び指揮官から助言を得た。

 狙えと指示を受けた内角球を打ち返した知花は「(侍)ジャパンに来てから馬淵さんだったり、岩井さん、小坂さんから指導をたくさん受けていた。アドバイスが結果に出た。(バットの)芯で捉えられたので、レフト(の頭)は越えると思っていました」と笑顔で振り返った。

 馬淵監督は知花の先制適時打を「良い活躍しましたね」と褒めた。2回の先制機で内角打ちを指令した理由は「韓国で(ペ・チャンスン投手が)試合をしているビデオがあった。決め球が内角の直球だったんですよ」と明かした。「だから、知花にはそれを狙えと。バットを短く持って狙えと言いました。うまいこと打ちましたね」。笑顔の裏には、積み重ねた研究があった。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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