勝敗が逆でも不思議はない 実力はリーグ屈指も…中日“10敗カルテット”誕生の悲劇
10日の巨人戦で柳が10敗目、これで先発4人が10敗に到達…
ここまでセ・リーグ最下位に低迷し、CS進出の可能性が潰えた中日に、望んでいない不名誉な記録が加わってしまった。10日に敵地で行われた巨人戦で、先発の柳裕也投手は6回6奪三振2失点の粘投も、打線の援護なく今季10敗目を喫した。これで先発陣は、涌井秀章投手が12敗(4勝)、小笠原慎之介投手と高橋宏斗投手がともに10敗(7勝と5勝)と、2桁敗戦が4人も現れる異常な事態となった。(数字は10日終了時)
個人の成績を見ると、高橋宏はリーグ5位となる防御率2.51を記録。柳も同6位の2.59と、エース格の投球を見せている。先発投手全体の防御率も、阪神(2.86)に次いでリーグ2位の3.13だ。ただ、今季の中日は深刻な得点力不足に悩まされている。チーム打率(.239)、本塁打(57)、得点(339)はリーグ最下位。得点ができないことで、我慢の投球を強いられる状況が続いている。その結果、“10敗投手”が4人も生まれてしまった。
セイバーメトリクスを用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、1イニング当たりの与四球+被安打を示す「WHIP」は、柳が「1.16」、小笠原が「1.18」、高橋宏が「1.21」、涌井が「1.38」を記録している。セの先発陣の平均が「1.20」であることから、涌井以外は先発として十分な安定感を発揮している。6回3自責点以内で記録されるクオリティスタート(QS)の数も、柳と高橋宏がともに「15」、小笠原が「14」、涌井が「9」とゲームメークもできている。
ここで気になるのは、打線がどこまで援護していたか。投手が9イニングを投げた場合に受ける援護点を示す「RS/9」を見ると、チーム全体で「2.86」となり、こちらもリーグ最下位だ。涌井が「3.45」、小笠原は「3.10」と、この2人は得点をもらってる方とも言えるが、高橋宏は「2.58」、柳にいたっては「2.34」と、3点以下となっている。仮にQSの基準となる6回3自責点で凌いだとしても勝ちがつかないのは、数字から見てもわかる。
リーグで一番「RS/9」が高いのはヤクルトの「4.26」。中日とは「1.4」も異なっている。毎試合4点の援護があれば、中日の“10敗カルテット”の成績も違うものになっていた、と想像してしまう。現役ドラフトで獲得した細川成也外野手が大ブレークを果たし、岡林勇希外野手が球団新記録となる26試合連続安打を達成するなど、明るい話題もあった。ただ、勝利につながる得点が取れてこそ、初めて“打線”となる。リーグ屈指の先発陣と攻撃陣がかみ合い、“強竜”復活となることを期待したい。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。