ミス連発で涙→適時打&好リード 西武2年目捕手が「救われた」甲斐拓也の金言

14日のソフトバンク戦に出場した西武・古賀悠斗【写真:荒川祐史】
14日のソフトバンク戦に出場した西武・古賀悠斗【写真:荒川祐史】

盗塁刺&適時二塁打も「源田様様です」「愛斗さんのお陰です」

■西武 4ー2 ソフトバンク(14日・ベルーナドーム)

 西武は14日、本拠地ベルーナドームで行われたソフトバンク戦に4-2で勝利。8番でスタメン出場した2年目の古賀悠斗捕手が、守っては先発の今井達也投手ら3投手を好リード、打っては2回に左中間を破る適時二塁打を放つ活躍を演じた。前日(13日)の同カードではパスボールを犯した上、盗塁を2つ許して逆転負けを喫し、悔し涙を流した。一夜明けて雪辱を果たした格好だ。

 初回守りが、試合の流れを決めるポイントとなった。2死二塁で相手の4番・近藤健介外野手の初球に、一塁走者の三森大貴内野手がスタート。古賀の送球はワンバウンドとなったが、三森がヘッドスライディングしてくる二塁ベース上にコントロールされ、タッチアウト。ソフトバンク側がリクエストするも、判定は変わらなかった。古賀は「(二塁のベースカバーに入った)源田さん(壮亮内野手)にうまくカバーしていただきました。源田様様です」と頭をかいたが、立ち上がりにやや制球が荒れ気味だった今井が、落ち着くきっかけとなった。

 そして打線は2回、まずは1死満塁で愛斗外野手が先制右犠飛。続く古賀は相手先発の森唯斗投手のカットボールをとらえ、左中間を破る適時二塁打にして、ベース上で両拳を突き上げた。「愛斗さんが犠牲フライを打ってくれたお陰です。0-0で打順が回ってくるのと、1-0では(重圧が)全然違いますから。愛斗さんが打ちやすい打席をつくってくれました」と、ここでも先輩への感謝を口にした。

 強肩が持ち味の古賀は今季、127試合中チーム最多の83試合でスタメンマスクをかぶり(14日現在)、正捕手の座を固めつつあるように見えたが、9月に入ってからは2歳上のライバル・柘植世那捕手に先発を譲るケースが増えている。前日の同カードではスタメン出場したが、初回に自身のパスボールでピンチを招き、3点リードの3回の守りでは一挙4失点で逆転を許した。7回、8回には周東佑京内野手に2盗塁を許し、試合後には平石洋介ヘッドコーチのアドバイスに涙目で聞き入る姿があった。

「野田(浩輔)バッテリーコーチにも、平石ヘッドにも、いろいろな言葉をかけていただきました、何よりも、首脳陣が昨日の今日で自分をスタメンで使ってくださる意図、自分に対する思いを考えた時、この試合を絶対に無駄にできないと思いました」と腹をくくってこの日に臨んでいた。

適時打を放った西武・古賀悠斗【写真:荒川祐史】
適時打を放った西武・古賀悠斗【写真:荒川祐史】

涙目の試合後に日本を代表する捕手とバッタリ顔を合わせた

 前日の試合後に言葉をかけてくれたのは、味方だけではなかった。ロッカールームへ戻る途中、帰路に就こうとしていたソフトバンク・甲斐拓也捕手とバッタリ顔を合わせ、肩を並べて長い階段を上がった。以前から、ソフトバンクのコーチを務めた経験のある平石ヘッドを通じて面識があった。

「たぶん、自分が涙目だったからだと思うのですが、甲斐さんから『まだこれから、我慢しなきゃいけないことがいっぱいあると思う。キャッチャーは我慢の連続だよ』という言葉をいただき、救われた気持ちになりました」と明かす。育成選手としてプロ入りし、侍ジャパンの正捕手にまで這い上がった甲斐には、古賀の心境が痛いほど伝わってきたのかもしれない。

「捕手というポジションには責任があって、サインを出す指1本1本に、試合はもちろん、投手の人生もかかっていると痛感しています」と古賀は言う。明日はまた悔し涙が待っているかもしれない厳しい世界だが、覚悟を決めて“捕手道”を歩き続ける。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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