「授業がない時間に自主練」 師匠は菊池涼介…侍J女子の“名手”は高校教師

女子日本代表・岩見香枝【写真:喜岡桜】
女子日本代表・岩見香枝【写真:喜岡桜】

侍J女子の遊撃手・岩見香枝は静清(静岡)の教師で女子野球部の監督

 現役高校教師の遊撃手が、好守で大会3連勝に貢献した。「侍ジャパン」女子代表は15日、広島・三次きんさいスタジアムで行われているカーネクストpresents「第9回WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」でベネズエラ戦に臨み、5-4でサヨナラ勝利を飾った。守備の要である岩見香枝内野手(西武レディース)は、静清高(静岡)の保健体育科教諭。同校の女子硬式野球部で監督も務めている。

 知人を介して菊池涼介内野手(広島)と知り合ったことをきっかけに、2016年から毎年合同自主トレを行っている。「中学の頃から守備に自信があって、わたしはあまり苦労をしたことがないんです」という岩見だが、10年連続ゴールデングラブ賞の名手との練習は“目から鱗”の連続だったという。特に、女子の課題である「力強さとスピードをどういう風に表現するか」を学んだことで「もうひと段落上の自信を持つことができました」と胸を張る。

「菊池選手も男子の中では小柄な方なので、最大出力になる身体の使い方を意識してトレーニングをしているそうです。送球の強さや、踏ん張ったときの強さは、身体の使い方と力の受け方、受けた力の出し方で変わってきます。それに有効なトレーニングと体重移動のスピードが揃うと、女子でも三遊間からの30メートル、40メートルでも球が落ちずに投げることができるんです」。

 女子野球界で“名手”と称される岩見の、普段の顔は高校教師。「部活の時に生徒と一緒に練習したり、自分の授業がない時間に自主練をしています。ライオンズ(西武レディース)には主要大会の時に参加するので、実戦離れはいつもしている状態です」と涼しい顔で語る。

 だが、「グローブを持たない日はないです」と言い切る。出張などでグラウンドを離れざるを得ない日以外は、必ず守備練習を行い、生徒と一緒にノックを受ける。「結果を出し続けている選手は、一度決めたことをルーティン化していることが多いんですが、それを毎日続ける継続力が大事と、生徒には教えています」。女子球児にとって、日の丸を背負う指揮官の指導は説得力があるだろう。

 今後も接戦が予想される女子W杯。岩見は「外国人にはパワーヒッターが多いので大変さはあります。ただ、打球方向に関しては日本人の方が繊細さがあって、海外の選手は比較的単調なイメージがあります。あと日本人のピッチャーはコントロールがいいので、予測していることとのブレも少ない。他のチームの遊撃手より守りやすいと思います」と、日本代表の技術力の高さにも信頼を置く。“女性教諭”の戦いは続く。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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