日ハム王柏融を「連れて来ることが使命」 “契約所有権”を獲得…台湾新球団の思惑
王柏融のCPBLでの「契約所有権」は楽天から台鋼に譲渡された
台湾プロ野球(CPBL)で、8月中旬に史上最大級のトレードが成立した。今季2軍に参入した新球団の台鋼ホークスから、7月のドラフト会議で全体1位で指名したばかりの元メジャーリーガー、林子偉内野手が楽天モンキーズへ。楽天からは王溢正ら2投手と、藍寅倫外野手の3人が台鋼へ移籍することになった。さらに両球団は、日本ハムの王柏融外野手について、CPBLにおける「契約所有権」を楽天から台鋼へ譲渡することに合意した。台鋼ホークスの劉東洋GMは、王柏融の将来的なチーム加入を熱望した。
――トレード相手として楽天の3人、プラス王柏融を選んだ理由は。
「移籍した3選手、王柏融選手はいずれも、洪一中監督の元でプレーした選手です。洪監督は性格面も含めて、彼らが若いチームに何をもたらすことができるのか一番知っています。GMの私も技術面以外の部分を理解したうえでの獲得であり、総合判断です。彼らがチームに加入することで若い選手にとっては刺激、模範になります」
――王柏融が今後CPBLに復帰した際の、楽天から台鋼への「契約所有権」譲渡に関する話は日本ハムに伝わっているのか。
「発表前、楽天モンキーズさんと合意した段階でお伝えしました。王柏融選手がファイターズに所属する選手であることは重々承知しており、契約関係を最大限尊重すること、あくまでもCPBLに復帰した場合の契約所有権の譲渡であることを説明した上で、これから両球団の、日台球界の友好関係についても大切にしていきたいと伝えさせて頂きました。8月、私はファイターズを訪問し、関係者の方たちとお会いしましたが、王選手に対する手厚いサポート、ケアを目にし感動しました。台湾プロ野球の関係者として、感謝の気持ちです」
――王柏融本人には、どのような形で伝えているのか。
「楽天と合意した時点で伝えました。王選手はファイターズの契約選手ですので、その契約関係を最大限尊重するという前提のもとで『今後、仮に』という形で伝えました。将来の話ですが、CPBL復帰の際に本人は新球団でやりたいという気持ちが強いのではないかと感じました。そうした“手応え”はあります。今回、札幌で会って、あらためて経緯を直接説明し、将来的な話として『よろしく』と伝えました」
――王柏融が来季も残留、または別のNPB球団からオファーなどがあり、戻ってこない可能性などについてはどう考えているのか。
「我々の王選手に対する評価はずっと変わっていません。もちろん、王選手はファイターズの契約選手ですので、契約についてはこちらから触れることはできません。王選手のファイターズでの成功を願っている1人です。ただ、同時に台鋼ホークスにとって、将来的にどうしても必要な選手です。豊かな経験をもってホークスの若手を引っ張ってくれる選手だと評価しています。彼は台湾プロ野球の歴史に新たな1ページを刻むことができる、歴史を変えられる男です。我々は将来的に、彼を母国に連れてくることが使命だと考えています」
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)