女子W杯会場で「パンフレットいかがですか」 甲子園準V監督が“販売員”を務めたワケ

グッズ売り場で接客をする高知中央・西内友広監督【写真:喜岡桜】
グッズ売り場で接客をする高知中央・西内友広監督【写真:喜岡桜】

高知中央・西内友広監督は女子W杯のグッズ売り場で販売員を務めた

 野球日本代表「侍ジャパン」女子代表は、広島県で行われたカーネクストpresents「第9回WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」を5戦全勝。2024年にカナダ・サンダーベイで開催されるファイナルステージに進出した。会場の「三次きんさいスタジアム」の一角にはグッズ売り場が設置され、大会記念タオルが完売するなどの盛況ぶりだったが、慌ただしく接客する販売員の1人に、史上初の甲子園開催となった2021年の全国高校女子選手権で準優勝に輝いた高知中央・西内友広監督がいた。

 Tシャツやステッカーなど、大会ロゴが印字された記念グッズがズラリと並んだグッズ売り場で、西内監督は「パンフレットいかがですか」などと観客に声をかけ、汗を流していた。なぜ現役の監督が販売業務に精を出していたのか。「野球部なので野球をやるのは当たり前。それ以外をどれだけできるかが大事だと思うんです。僕がこういうことをやっていれば、生徒たちも力が入るんです」と話し、国内外から来場した観客へ丁寧に言葉をかけた。

 教え子の将来を見据えて「競技を辞めたあとも、ボランティアとして遠くでも『行きます!』って、うちの子たちがなれば」と願いを込める。この大会には参加しなかったが、同校の部員は高知県内で開催される大学選手権や、女子中学生の大会などで補助員を務め、女子野球の普及や地域貢献に尽力している。

 西内監督は中国・四国地方の女子野球連盟会長を務め、競技復興に力を入れてきた。高知県は過疎や少子化により男子も野球部員が少なく、今夏の選手権大会の参加校は全国最少の23校だった。高知中央の男子硬式野球部でコーチを務めた経験もある指揮官は、地元が抱える課題解消に努めている。

「一生懸命やって、部員に『いっぱい売れたわ』って報告したいですね」。自らの行動で人材育成を図っている。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY