プロテストに2度“不合格”も…苦闘経て女子侍J入り 成り上がった救援右腕の強み

侍ジャパン女子代表・堀田ありさ【写真:喜岡桜】
侍ジャパン女子代表・堀田ありさ【写真:喜岡桜】

侍J女子・堀田ありさは「W杯グループB」で2登板…1回2/3を無失点に抑えた

 侍ジャパン女子代表は、17日まで行われたカーネクストpresents「第9回WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」(広島・三次きんさいスタジアム)で5戦全勝。W杯の連勝を「35」に伸ばし、来年行われるファイナルステージ(カナダ・サンダーベイ)進出を決めた。代表メンバーきっての“苦労人”、堀田ありさ投手(東海NEXUS)は2試合に登板して1回2/3を無失点。リリーバーとして日本代表を支えた。

 今年初めて代表入りを果たし、5月のアジアカップも経験した26歳右腕は、今大会開幕前、「自信を無くしてしまうほど代表メンバーは全員すごい」とため息交じりに感嘆していた。だが「来年も代表入りしてカナダへ行きたい」と言葉に力を込める。

 関商工(岐阜)ではソフトボール部に所属し、国体へ出場。卒業後の2014年から女子プロ野球の入団テストに挑戦し続け、3度目でやっと合格を果たした。そこから日本代表へ這い上がってきた。

 2010年から日本代表メンバーに名を連ね、2017年から3シーズンを同じ愛知ディオーネで過ごした“レジェンド右腕”の里綾実投手は、「あまり感情を表に出すタイプではないんですが、ひたむきにコツコツとやってきたことが、今回の日本代表入りや試合での結果に出た」と堀田を評する。

 女子プロ野球時代にはランニングやキャッチボールなどの練習を共にし、頻繁に食事へ出かけた“愛弟子”。大会最終戦のキューバ戦(17日)では堀田が2番手、里が4番手で完封リレーに貢献。「同じ試合で一緒に投げて継投できたことがすごく嬉しいです」と、堀田の成長ぶりに師匠も喜んだ。

何度も夢破れる中で成長…初めての世界大会で得られた自信

 挑戦することをやめなかった右腕は「女子プロ野球に2回落ちたことと、日本代表の選考合宿(2018年)に漏れた経験があるので、気持ちを切り替えるのが早いんです」と前を向く。次こそは夢を叶えるためにと、いち早く課題の解決に取り組んできた。

 アドバイスを聞き入れる素直さと修正力の高さもうかがえる。「自分では気付けないことを言ってもらえるのはありがたいことで、それを素直に受け止めて、まずはやってみる。自分で言うのも変ですけど、私はなんでも器用にやれちゃうタイプだとは思っています。だけど、言われないと自分では修正できないんです」と飄々と語り、これまでの成長は指導してくれた先輩や指導者の声にあると感謝する。

 どんな時も穏やかな堀田。だが「今までの頑張りが……。いや、自分は頑張ってないんですけど。今まで諦めずに野球を続けてきて良かったなって思えました。自信を持つことができました」。来年のカナダで行われる最終決戦へ、大きな収穫を得た。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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