阪神CSへの不安要素? 前年1位→最下位転落、短期決戦に不可欠な“代打の神様”
際立つヤクルト・川端と広島・松山の代打での勝負強さ
試合を左右する場面で登場し、勝負強い打撃で期待に応える「代打」は頼もしい存在だ。特に投手が打席に立つセ・リーグではその重要性が高いが、今季の成績を見てみると、独走で18年ぶりVを果たした阪神の“弱点”も見えてくる。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータをもとに、セ・リーグ6球団の代打成績を紐解いてみたい。(数字は19日現在)
代打打席数20以上の選手に絞って見ていくと、やはり経験豊富なベテラン勢の存在感が際立つ。プロ18年目のヤクルト・川端慎吾内野手は、代打起用がリーグ最多の69回で、19安打2本塁打11打点、打率.322と勝負強さが健在。16年目の広島・松山竜平外野手も、53回の起用で本塁打はないものの、19安打21打点、打率.396と4割に近いハイアベレージを残している。松山に牽引されるように、広島のチーム代打打率は.260とリーグ断トツだ。
18年目のDeNA・大和内野手も存在感を発揮。33回の起用で10安打を放ち打率.303。リーグ2位の代打17打点を記録する楠本泰史外野手とともにチームを下支えしている。DeNAとクライマックスシリーズ(CS)出場を争う巨人は、切り札が豊富。長野久義外野手が40回起用で10安打1本塁打、梶谷隆幸外野手が33回で9安打、アダム・ウォーカー外野手が29回で9安打2本塁打と、いずれも打率3割超の結果を残している。
最下位に沈む中日は、加藤翔平外野手(29回)と後藤駿太外野手(24回)の両ベテランの起用が多いが、加藤は打率.192、後藤は.250。チーム全体でも代打打率は.185にとどまっている。
昨年代打打率1位の陽川が移籍…今年の阪神はリーグ最下位
そんな中日よりも“切り札不足”なのが、優勝した阪神だ。糸原健斗内野手(53回)、原口文仁内野手(50回)、渡邉諒内野手(42回)が多く起用されているが、打率はそれぞれ.200、.196、.128。昨季はチーム代打打率リーグトップ(.240)だったものの、個人1位の打率.400をマークしていた陽川尚将内野手が現役ドラフトで西武に移籍し、穴を埋められていない。その陽川は現在2軍におり、「代打要員として返してほしい」などの虎ファンの声もSNS上には漏れている。
阪神といえば、川藤幸三、八木裕、桧山進次郎などの印象的な“代打の神様”がいた。CSや日本シリーズの短期決戦に向けても、1打席で流れを変えられる存在は不可欠。2018年に代打で23安打を放つなど経験豊富な原口の復調や、糸原のさらなる成長に期待したい。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。