不動の三塁へ…松井監督が絶賛の西武26歳 「非常に機能している」攻守で見せる“存在感”
「走者を返すことも、出塁することも、つなぐこともできる」
■西武 7ー4 日本ハム(19日・ベルーナドーム)
西武は19日、本拠地ベルーナドームで行われた日本ハム戦に7-4で勝利。プロ5年目、26歳の佐藤龍世内野手が「5番・三塁」で出場し、2打数1安打2四球でチャンスメークに貢献した。同日現在、佐藤龍は9月に入ってから全15試合にスタメン出場し、47打数17安打16四球。月間打率は.362、月間出塁率は驚異の.524をマーク。まさに“ミスター・セプテンバー”の活躍ぶりで、不動のレギュラーに近づいている。
「龍世はランナーを返すこともできますし、先頭打者としてランナーに出ることも、つなぐこともできる。非常に機能してくれています」。松井稼頭央監督は佐藤龍の現状に最大限の賛辞を送る。
今季の西武のサードは、現在一塁に定着しつつあるデビッド・マキノン内野手が開幕スタメンを務め、呉念庭内野手、平沼翔太内野手らも守ってきた。今季は1度も守備に就いていないとはいえ、もともと三塁が本職の中村剛也内野手もいる。それでも、いまや佐藤龍の存在感は攻守に圧倒的だ。
この日は3点ビハインドの2回、日本ハム先発のコディ・ポンセ投手のツーシームに詰まらされながら、しぶとく中前に落とすヒットで出塁。1死満塁となってから児玉亮涼内野手の左犠飛で三塁から生還し、反撃の口火となった。3回には2死一塁で、カウント3-2から四球を選び、続く愛斗外野手の同点二塁打につなげた。再び1点ビハインドとなった6回には、中村の同点ソロの直後に打席に入り、セーフティバントの構えで揺さぶりながら四球を選び、勝ち越しの起点となった。
チームに対してはどこまでも献身的だ。今季は開幕からずっと1軍にいて、三塁の他に二塁、一塁もこなし、緊急時の“3人目の捕手”としても頼りにされている。最近は連日三塁スタメンとあって見られなくなったが、以前は試合前、レガースやマスクを装着し捕手練習にも参加していた。実際、1軍登録のままイースタン・リーグでは2試合に捕手として出場している。肉体的な負担は大きいはずだが、本人は「(捕手の練習をすることで)足腰が鍛えられますし、三塁手としてのスローイング、打撃にも、何らかの効果があると思っています」と前向きにとらえている。
三塁守備で膝が地面に着くくらい低く構える理由
また、これも実直な性格の表れなのか、佐藤龍は三塁を守る時、実に低く構える。普通は中腰で両膝に手を置いて構える選手が多いが、佐藤龍は1球1球、左膝が地面に着きそうになるくらい低く構えている。「ルーキーの頃、近藤さん(健介外野手=当時日本ハム、現ソフトバンク)の打球をトンネルしたことがあって、それから低く構えるようにしています」と明かしている。
2年目の2020年には運転中のスピード違反で対外試合出場禁止処分を受け、翌2021年の8月にはトレードで日本ハムへ移籍。昨年オフに、山田遥楓内野手とのトレードで古巣に復帰した。「周りのみなさんに迷惑ばかりかけてきたので、どれだけ恩返ししても足りない」と、活躍が続いても気を緩めることはない。
「試合に出られるのが一番いいですが、自分が出なくてもチームが勝てばそれでいい」と繰り返すが、いまやスタメンにいなくてはならない存在となりつつある。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)