援護点わずか「2.10」の“悲劇” ノーノーでも勝てず…2桁黒星&本拠地0勝の竜右腕

中日・柳裕也【写真:荒川祐史】
中日・柳裕也【写真:荒川祐史】

打線の援護に恵まれず本拠地ではついに勝てなかった中日・柳

 中日の柳裕也投手は24日の阪神戦(バンテリンドーム)に先発し、8回を投げて被安打3、4奪三振無失点の好投を見せながらも勝ち星がつかず、チームは延長12回0-0で引き分けた。2021年に最優秀防御率のタイトルを獲得した右腕は、今季もリーグ6位の防御率2.44と健闘したものの、4勝11敗と勝ち星に恵まれず。特に本拠地では11試合を投げて0勝6敗と白星ゼロに終わった。(記録は25日現在)。

 柳の防御率は月別で見ると、5~7月は3点台。6月27日の阪神戦(甲子園)、7月4日の巨人戦(バンテリンドーム)と連続5失点KOもあった。しかし、7月23日の広島戦(マツダスタジアム)以降は10試合を投げてクオリティスタート(6回以上を投げて自責点3以内)を達成できなかったのは1試合のみ。それでも自身の勝ちにつながったのは、7回途中無失点に抑えた今月3日の広島戦(マツダスタジアム)だけだった。

 打線の援護に、あまりにも恵まれなかった。その10試合中、援護点ゼロは6試合もあり、残り4試合もわずか1点。8月13日の広島戦(バンテリンドーム)では9回を無安打に抑えながら、味方の得点もなく幻の“ノーヒットノーラン”となった。セイバーメトリクスの観点から野球の分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを参照すると、9イニングあたりの援護点を示す「RS/9」は2.10と、12球団の規定投球回到達者で最低(ちなみに2位は同僚の高橋宏斗の2.69)。防御率が2点台中盤でも、援護点が1点台に近ければ勝てないのも仕方がない。

 強いて課題を挙げるならば、今季はボール球が多かったことか。1424球は12球団で最も多く、球数全体も2553球と3番目に入る多さだった。もちろん、投球回数も5番目に多いのでその分球数は増えるが、その辺りが打線のリズムに繋がらなかった可能性も否定はできない。2年前に168だった奪三振数も今季は105に減った一方、与四球は41から47と微増。奪三振割合から与四球割合を引いた値「K-BB%」は9.1と、12球団で2番目に低い数字だった。

 とはいえ、特に後半戦の素晴らしい投球内容を見れば、本拠地のファンに白星を届けられなかったのは不本意だろう。この悔しさをバネに、来季は打線の援護を待ちつつも、さらなる飛躍を期待したい。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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