盗塁阻止率「ゼロ」→12球団No.1捕手へ急成長 驚異的な飛躍見せる24歳の“伸びしろ”

西武・古賀悠斗【写真:矢口亨】
西武・古賀悠斗【写真:矢口亨】

西武の2年目・古賀が森友哉の抜けた正捕手争いで一歩リード

 西武・古賀悠斗捕手が驚きの成長を遂げている。中大から入団して2年目の若獅子は、これまで94試合に出場。オリックスに移籍した森友哉捕手が君臨していた西武の本塁を守っている。特筆すべきは盗塁阻止率の高さだ。規定守備イニングに到達している選手の中で、12球団一の「.406」を記録している。新人だった2022年は、1度も相手の盗塁を防ぐことができなかったのだから驚きだ。

 開幕3戦目でスタメンマスクを被ると、交流戦以降は多くの試合で先発を任され、存在感を高めてきた。セイバーメトリクスの観点から野球の分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを参照すると、古賀の守備率は「.994」となっている。今季の西武は、柘植世那(同.991)、古市尊(同.992)を含めた3捕手で主に扇の要を担っているが、古賀の安定感が光る形となる。

 特筆すべきは盗塁阻止率だ。古賀は64の盗塁企画に対して26回阻止して「.406」を記録。2位の中村悠平(ヤクルト)の「.393」を上回り12球団一の数字だ。昨季の1位は中村の「.364」だったことから、4割を超える数値がいかに優秀かわかる。

 さらに驚かされるのは、昨季からの飛躍的成長だ。昨季は14の盗塁企画で、1度も阻止することができず、阻止率は「.000」と散々な数字だった。盗塁の阻止には肩の強さだけではなく、インサイドワークや投手との呼吸を合わせることなども重要とされる。ルーキーイヤーの課題を乗り越えて、徐々に信頼を勝ち取ってきたことが伺える。

 守備で大きな進化を遂げたが、課題は打撃。打率.212、2本塁打、出塁率も.282で、捕手という重責を踏まえても少々物足りない。それでも8月には打率.295を記録するなど改善の兆しを見せている。投打に覚醒の兆しを見せる24歳が、“常勝・西武”復活の鍵を握っている。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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