低迷・中日、開幕ローテ全員が“負け越し”の悲劇 好投しても報われぬ…深刻な不均衡

中日・高橋宏斗、柳裕也、小笠原慎之介(左から)【写真:荒川祐史】
中日・高橋宏斗、柳裕也、小笠原慎之介(左から)【写真:荒川祐史】

柳、高橋宏、小笠原、涌井が2桁黒星…10勝以上は6年ぶりに不在

 球団初の2年連続最下位が現実味を帯びている中日。開幕時の先発ローテ6投手は、誰もが苦しんだ。全員が黒星が先行し、6年ぶりに2桁勝利投手も不在。とはいえ、2投手が防御率2点台前半で、チーム防御率もリーグ2位と奮闘した。打線の援護に恵まれない1年だったことを象徴する成績となった。(成績は26日終了時点)

 今季の中日は小笠原慎之介投手が開幕投手を務め、2カード目まで涌井秀章、福谷浩司、大野雄大、柳裕也、高橋宏斗と回った。この中で大野雄は4月10日に登録抹消され、1登板(1敗)で今季を終えた。

 福谷は後半戦は救援に回るなど14登板(11先発)で3勝4敗。移籍1年目の涌井はリーグワーストの13敗(5勝)を喫した。1年を通してローテを守ったのは小笠原、柳、高橋宏の3投手で、小笠原は自己最多の155イニングを投げるも7勝11敗。セイバーメトリクスの観点から分析する株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、1試合当たりの援護点「RS/9」はリーグで5番目に低い3.14だった。

 さらなる不運がついて回ったのは柳と高橋宏だ。柳はリーグ6位の防御率2.44ながら4勝11敗と大きく負け越し。RS/9は規定投球回到達者の中で最も低い2.10だった。8月13日の広島戦(バンテリン)では9回ノーノーでも援護なく勝てなかった。3年目の高橋宏も7勝10敗ながら、防御率はリーグ4位の2.36。RS/9は柳に次いで低い2.68だった。

 今季の中日打線は総得点376、チーム打率.235、67本塁打でいずれもリーグワースト。柳、高橋宏は打線の援護に極端に恵まれなかったことが負け越した大きな原因だろう。ここ近年続いている投手と野手の不均衡。低迷打開するには得点力を上げるしかない。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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