“今世紀最少”で決着か…4人が並ぶ異常事態 「投高打低」象徴する歴史的大混戦

パ・リーグの本塁打王争いは4人が並ぶ異常事態に【写真:荒川祐史】
パ・リーグの本塁打王争いは4人が並ぶ異常事態に【写真:荒川祐史】

パ・リーグの本塁打王争いは2012年の「27本」を超えられるか

 パ・リーグは今季、“歴史的低水準”のホームランキング争いとなっている。楽天の浅村栄斗内野手、ロッテのグレゴリー・ポランコ外野手、日本ハムの万波中正外野手の3人が25本で並んでいたが、ここに29日の西武戦(PayPayドーム)でソロを放ったソフトバンク・近藤健介外野手が並んだ。熾烈なトップ争いではあるものの、パ・リーグで1990年以降、20本塁打台でのタイトルとなったのは2度しかなく、今世紀以降「最少本数」での決着となる可能性もある。

 1度目は1995年で、ダイエー・小久保裕紀(現ソフトバンク2軍監督)が28本塁打でタイトルを獲得した。前年まで2年連続(42本、35本)本塁打王のラルフ・ブライアント(近鉄)が不振。オリックスのトロイ・ニールとの争いになったが、小久保が1本差で競り勝った。ちなみに、この年首位打者・打点王・盗塁王に輝いているオリックス・イチローも25発放っており、3冠王&盗塁王(さらに最多安打、最高出塁率)という空前絶後のタイトル総なめになる可能性もあった。

 2度目は2012年の西武・中村剛也で27本塁打。前年、飛距離の出にくい「統一球」が導入された中でも48アーチと圧倒的打棒を見せつけた“おかわり君”は、この年は開幕直後から不振や故障に見舞われたものの、タイトルを死守して貫禄を見せつけた。

 国際大会対策として導入された「統一球」だが、本塁打が減ることで“エンタメ性”も損なわれることから、2013年には楽天モバイルパークに「Eウィング」、2015年にはPayPayドームに「ホームランテラス」、2019年にはZOZOマリンスタジアムに「ホームランラグーン」(いずれも球場名は現在名)と、外野フェンスからせり出す形で客席を増設することで“本塁打を増やす”試みがなされてきた。それでも、昨年の本塁打王・山川穂高内野手(西武、41本)の出場停止もあった今季は、コロナ禍で試合数の少なかった2020年よりも少ない本数での決着となりそうだ。

 今季のパ・リーグは打率でも3割打者が同日時点で頓宮裕真捕手(オリックス)と近藤の2人だけと「投高打低」が顕著。現時点での残り試合数は、浅村が7、ポランコが8、万波が4、近藤が6だが、スタンドを沸かせる一撃を少しでも多く打ち、タイトル争いを盛り上げてくれることを期待したい。

(Full-Count編集部)

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