戦力外7人のうち野手は1人だけ 12球団ワーストの防御率…予感させる燕の投手大刷新

ヤクルト・高津臣吾監督【写真:小林靖】
ヤクルト・高津臣吾監督【写真:小林靖】

ヤクルトはチーム防御率、「真の投手力」を測る指標でも12球団ワースト

 プロ野球の戦力外通告期間が2日に始まり、ヤクルトは支配下5選手、育成2選手の計7選手に来季契約を結ばないと伝えた。支配下5人全員が投手だった。今季は1試合を残してチーム防御率が12球団ワーストの3.66。巻き返しを図る来季へ向け、投手陣大刷新の意図が滲む。(記録、数字は1日終了現在)

 ヤクルトが戦力外を通告したのは大下佑馬、久保拓真、杉山晃基、成田翔、市川悠太、育成の鈴木裕太の6投手と、育成の松井聖捕手。成田はロッテから現役ドラフトで加入した左腕だ。

 ヤクルトの今季チーム防御率は12球団ワーストの3.66。2021年は3.48(リーグ3位)、2022年は3.52(同4位)で大きな差はないように見えるが、投高打低の傾向がプロ野球で強まり他球団が数字を改善させる中、後れを取っている。

 セイバーメトリクスの観点から分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを見ても同様だ。守備の関与しない与四死球、奪三振、被本塁打の3項目に加え、どのような打球を打たれたかまで投手の責任範囲として、守備から独立した失点率を推定・評価する指標「tRA」でヤクルトは12球団ワーストの4.00。野手の守備から切り離された「真の投手力」でも劣っていることになる。

 今季は先発では小川泰弘投手が3年ぶり2桁の10勝をあげたが、「侍ジャパン」の一員として3月のWBC優勝に貢献した高橋奎二投手が4勝止まり、2021年に9勝を挙げた奥川恭伸投手や昨季8勝の原樹理投手は登板機会がなかった。投手陣再編への強い意欲を感じさせる戦力外通告だった。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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