31発の村上宗隆も「印象が薄かった」 2連覇→5位転落…OBが指摘、ヤクルトの“課題”

ヤクルト・村上宗隆【写真:小林靖】
ヤクルト・村上宗隆【写真:小林靖】

ヤクルトOBの飯田哲也氏が3連覇を逃した古巣の主力を分析

 ヤクルトは球団初のリーグ3連覇を狙ったはずが、クライマックスシリーズ(CS)進出すら逸して5位という屈辱のシーズンとなった。盗塁王に輝くなど走攻守3拍子そろった外野手として4度の日本一に貢献し、引退後もコーチを務めたヤクルトOBの飯田哲也氏に、主力選手に向けて、来季への課題を指摘してもらった。

 村上宗隆内野手は、セ2位の31本塁打、同4位の84打点をマーク。シーズン途中から状態が上向き、面目を保ってはいるものの、王貞治氏(元巨人、現ソフトバンク球団会長)を抜く56本塁打、史上最年少3冠王に輝いた1年前の存在感とは比較にならない。

「今季も30発は行きましたし、すごいバッターなんですよ。でも、3冠を獲っている選手なので周囲からは高いレベルで見られる。注目される中でも、やらなきゃならないのが村上でしたから。去年はここで打ってくれという時に打ちました。今年はホームランを打ったとしても印象が薄かった。決定的、印象的な一打があまり浮かばないんですよ」

 3、4月はわずか2本塁打。開幕前にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場していたが、「僕はジャパンを経験したことがないのですが、代表のプレッシャーはすごかったのかなと考えてしまいます。何とかしなきゃ、と必死にもがいていたのでしょう」と飯田氏。心身の疲弊が出遅れに影響したと推察する。

 振り返ると、昨年は王氏に並ぶ55号から歴代単独2位となる56号までの間、WBCでは準決勝でサヨナラ打を放つまでの間、そして今シーズン序盤と、3度の期間で大きく精彩を欠いた。「極端に打てなくなる時がありましたね」。主軸を担う打者ならば、好不調の波を小さくしてほしいと注文する。

山本由伸でさえフォーム変更…エース候補の高橋も「変化していかないと」

 山田哲人内野手は打率.231、14本塁打、4盗塁。下半身の怪我などで、なかなか万全で臨めなかった。「トリプルスリー」が代名詞だった右バッターも31歳。飯田氏は現状を見詰め直すことを勧める。「力は、もう昔の山田じゃない。本人も、今までの自分とはちょっと違うとわかっているはず。生き残っていくには、何をすればいいのか考えないと。ホームランが出ないならアベレージでいくとか。そういう奮起を一番期待したいです」。

 山田を脅かす若手の出現も熱望する。「今年の巨人の丸(佳浩外野手)とかを見て下さい。若い選手が出て、スタメンを外れてベンチに座っている時に『これはまずい』と心に火がついていたと思います。脅かす存在がいないと、山田も本気になりません」。相乗効果でチームの選手層も厚くなっていく。

 高橋奎二投手も“エース候補”のままと言わざるを得なかった。昨季は自己最多8勝を挙げ、WBC代表にも選出。しかし、今季は先発ローテを守れず、4勝(9敗)にとどまる。「ストレートは一級品です。自信を持って投げて、『俺がエースだ』と思ってもいい投手。でもストレート一本で抑えられていたのが、抑えられなくなりました」と昨季との違いを分析する。

 高橋がエースへの階段を昇るには、打たれた理由を自分でもっと突き詰める必要があるという。「そうなれば、次は練習で何をしようかと考えるようになります。変化していかないといけない。WBCで一緒だったオリックスの山本(由伸投手)でさえ、フォームを変えたりしているわけですからね」。

 飯田氏と高津臣吾監督は、同学年で現役時代チームメート。「大変だったろうなというシーズンでした。やり直しですね」。高津監督は1軍監督1年目は最下位で、そこから連覇を成し遂げてみせた。再びのリベンジを期待している。

(西村大輔 / Taisuke Nishimura)

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