3年連続「2点台」の悪夢 負の連鎖止まぬ投打の不均衡…立浪竜が直面する“課題”

中日・立浪和義監督(中央)【写真:荒川祐史】
中日・立浪和義監督(中央)【写真:荒川祐史】

球団史上初の2年連続最下位の中日は「得点力不足」が深刻化

 球団史上初の2年連続最下位に沈んだ中日。その低迷の一番の要因といえるのが「得点力不足」だ。チーム防御率が3.08でリーグ2位なのに対し、チーム打率は.234で同6位。1試合平均の得点数は3年連続で2点台にとどまった。現役時に通算2480安打を放った名球会打者であり、就任2年目となる立浪和義監督の下でも、攻撃力は向上するどころか、むしろ悪化しているのが現状だ。

 セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、直近3シーズンの中日の1試合平均の得点数は、2021年が2.83、2022年が2.90、そして今季は「2.73」。昨季は改善が見られたが、今季は再び低下してしまった。もちろんリーグワーストの数字で、12球団でも唯一の2点台。それどころか過去10シーズンの全球団の成績を見ても、1試合平均2点台はこの中日の3年間しかない。

「投高打低」の傾向が指摘されている球界でも、中日は特に「打低」が顕著となっている。総得点から総失点を引いた得失点差も今季は「-108」(=390-498)と、こちらもリーグワーストで唯一のマイナス3桁台。2021年の-73、2022年の-81と比べても落ち込みが激しくなっており、いかに、投手陣を後押しできずにアンバランスが生じているかがわかる。

 改善策として、まずは本塁打を増やさなければいけない。チーム本塁打数71本はもちろんリーグ最下位だが、中日の3桁本塁打は111本を放った2017年以来ない。この年は35本を放ってタイトルを獲得したアレックス・ゲレーロがいた。今季は期待のアリスティデス・アキーノがたった1アーチでは厳しい。日本人打者の成長はもちろん、信頼できる助っ人大砲の獲得は急務だろう。

 加えて攻撃面での工夫も必要だ。チーム盗塁数(36=リーグ5位)、犠打数(92=同6位)、四球数(306=同6位)はいずれも他チームに比べて少なく、出塁率も唯一の2割台(.285)だ。立浪監督と同じく名球会打者の中村紀洋2軍コーチの退団も発表されており、こうした攻撃面の課題克服がいかに難しいものかも感じられるが、この秋からどう改善策を練るのか、就任3年目となる指揮官の手腕に注目だ。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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