“技術を磨く”米国バッティングセンター事情 選べるボールの種類…コーチ付きプランも

米国滞在中の元オリックス・鈴木優氏【写真提供:PLM】
米国滞在中の元オリックス・鈴木優氏【写真提供:PLM】

米留学中の鈴木優氏が感じた日米バッティングセンターの違い

 オリックスと巨人で投手としてプレーし、昨季限りで現役を退いた鈴木優さんは現在、「パ・リーグ インサイト」のスタッフを務め、米国に約2年の予定で留学中だ。現地で感じた“ベースボール事情”を不定期でレポートしてもらっているが、10回目の今回は、日本とは一味違う、米国のバッティングセンターについて綴ってもらった。

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 今回は、オレゴン州ポートランドにある米国版のバッティングセンターに行ってきた。まず、米国にバッティングセンターという施設が存在すること自体知らなかったのだが、知人が連れていってくれるということで、ワクワクしながら向かった。

 建物の入り口には受付と小さい野球のグッズショップがあり、その奥にあるようだ。これは日本のバッティングセンターでも同じようなものを見かける。そしてメインのエリアに入ると、日本のバッティングセンターの2倍ほどの室内練習場のような場所が広がっていた。そこには3種類のエリアがあり、用途によって使い分けられている。

 まず1つ目は、時間貸しのケージのエリア。そこにはバッティングマシンもあり、ひたすら打ち込むことも可能だし、親子でティーバッティングやトスバッティングをするなど、マシンを使わない利用の仕方もできる。日本のバッティングセンターでは、あまり見かけない光景だった。

 そして2つ目が、日本で見るようなマシンを1人ずつ打つエリア。ここでは、回数を確認するチップを内蔵したカードを機械にかざし、高さ・速さなどを選んでバッティングをする。面白いと思ったのが、ボールの種類。日本では軟式が主流だが、ここでは硬球かソフトボールを選べるのだ。

 米国では軟式野球というものは存在しない。一部エリアで日本人コミュニティによる草野球リーグはあったりするものの、基本は硬式だ。また、野球とは別に草ソフトボールも盛んだ。通常のルールもあるのだが、「スローピッチソフトボール」という、投手が投げるボールが山なり限定というルールの試合もあり、休日になると男女入り交じって公園などでプレーしているのをよく見かける。

中には小規模のグッズショップがある【写真:本人提供】
中には小規模のグッズショップがある【写真:本人提供】

順番待ちの人がボールを拾うルールも

 また、日本と同じように順番待ちもあるが、バット置きのようなものがついていて、持参したバットをそこにかけて順番を待つ。本人がいなくてもバットが“本人代わり”の証明として並んでいることになり、効率よく感じた。

 そして、3つ目のエリアがピッチングのエリア。日本で見るようなゲーム方式の「ストラックアウト」ではなく、3レーン個別に練習できるところが準備されている。各レーンには、ケース1箱のボールとスピードガンが用意されており、キャッチャーの場所にはストライクの枠が設置され、個人でもコーチをつけてでも、存分に練習をすることができるようになっている。

 このように、日本のバッティングセンターと比べると米国のほうが、野球の技術を高める場所という印象を受けた。

 料金システムは日本でよく見られるような、直接コインや現金を入れるシステムではなく、電子カードに何回分かをチャージをするか、1か月通い放題で定額制というプランもあるようだ。ほかにもコーチングがついているプランもあり、さながら野球塾のようだ。

 また様式として面白いと思ったのが、日本のバッティングセンターではボールは自動的に集まるようになっているが、今回行ったセンターでは、ボールがなくなったら順番待ちをしている人が拾うというルールだった。

 そうしたところも含めて、日本と米国の違いがたくさんあって楽しかった。また、別の野球に関わる場所も訪れてみたい。

(「パ・リーグ インサイト」鈴木優)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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