エースを襲った12球団最低「2.08」の“不運” 初の2桁黒星…深刻だった「4」の壁

広島・大瀬良大地【写真:荒川祐史】
広島・大瀬良大地【写真:荒川祐史】

エースとして期待も…今季6勝11敗に終わった広島・大瀬良

 5年連続で開幕投手を任された広島の大瀬良大地投手にとって、10年目の今季は試練のシーズンとなった。23試合に先発し、6勝11敗、防御率3.61。プロ初の2桁黒星を喫し、チームに貯金をもたらすことができなかった。エースとして期待に応えられなかったが、データを検証すると“不運”な要素も見えてくる。

 大瀬良は4月7日の巨人戦(マツダスタジアム)に先発し、6回2失点に抑えて今季初勝利をマークした。しかし、続く14日のヤクルト戦(同)で2勝目を挙げて以降、約2か月半、白星に恵まれない日々が続いた。大瀬良自身の不調もあるが、打線の援護の少なさも勝てなかった要因の一つと言える。

 セイバーメトリクスの観点から野球の分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを参照すると、9イニングあたりの援護点を示す「RS/9」は90回以上投げた中で、12球団最低の2.08。援護点も30とリーグワーストの数字だった。成績を振り返ると、4月7日の巨人戦での4点が今季1番多い援護点だった。

 他球団を見渡すと、援護点が12球団で1番低かったのは楽天・早川隆久投手の26。4月、5月は防御率1点台と好投するも白星を伸ばせず6勝7敗だった。4勝11敗の中日・柳裕也投手は「RS/9」が大瀬良に次ぐワースト2位の2.10。大瀬良同様に、打線との巡り合わせがうまくかみ合わなかった投手は、負け数が先行している。

 ただ、大瀬良にも課題はある。被本塁打はチームワーストの15本、出塁させた走者を生還させなかった割合を示す「LOB%」は75.9%と、チームトップの11勝を挙げた床田寛樹投手(82.5%)と7%近く差がある。また、登板した23試合のうち13試合は相手に先制を許しており、先発として攻撃のリズムをつくることができなかったのは反省点だろう。

 今季の広島は前評判を覆し、5年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出を果たした。2016年からのリーグ3連覇を経験している大瀬良の実績と経験は、若い選手が増えたチームにとって必要不可欠。シーズンで味わった悔しさをバネに、CSで存在感を見せることができるか。負けられない戦いでのエースのリベンジに期待したい。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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