前半7敗から後半7勝の“激変復活” 球界トップクラスの宝刀…「100%」の抜群安定感

ヤクルト・小川泰弘【写真:小林靖】
ヤクルト・小川泰弘【写真:小林靖】

ヤクルト小川は通算100勝を達成するなど今季10勝を挙げた

 11年目を迎えた33歳右腕がエースとしての姿を見せた。ヤクルト・小川泰弘投手は、9月24日の広島戦で8回4安打1失点と好投し今季10勝目(8敗)を挙げた。自身3年ぶりの2桁勝利を達成するとともに、チーム13試合目にして今季初となるマツダスタジアムでの勝利をもたらした。小川は今季、前半戦はわずか3勝(7敗)だったが、後半戦は7勝(1敗)と、勝ち負けがほぼ逆転する“激変”が起きた。

 小川は、3年連続7度目の開幕投手を務めた3月31日の広島戦(神宮)で、7回3安打無失点と好投し初勝利。しかし、4月14日の広島戦(マツダ)から5月6日の中日戦(神宮)まで4試合連続で敗戦投手になるなど、前半戦は3勝7敗、防御率4.08と苦しんだ。

 しかし、後半戦は一転、初登板となった7月22日の阪神戦(神宮)で4勝目を挙げると、9月9日のDeNA戦(横浜)では史上142人目となる通算100勝をマーク。後半戦は9試合に先発し、7勝1敗、防御率2.45。安定感抜群の投球で、後半戦勝利数はDeNA・東克樹に次ぐ2位と大きく躍進した。特筆すべきは、6回以上を自責点3以内で記録されるクオリティ・スタート(QS)で、9試合全てで記録し、達成率「100%」の抜群のゲームメーク力を見せた。

 特に9月は無傷の3連勝をマークし、WHIPも1.00と抜群の数値を記録、被打率も.200でリーグ4位の低さだった。また、セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、武器の1つであるフォークは、100球当たりの失点増減を示す「wSF/C」において、規定投球回到達投手の中で山崎伊織(巨人)に次ぐ12球団2位の1.94をマーク。特に後半戦の安定した投球を大きく支えた。

 チームは最終戦で逆転サヨナラ勝ちし、なんとか5位に踏みとどまったものの、リーグ連覇から一転、急激な落ち込みとなった。巻き返しには、チーム防御率3.66とリーグワーストを記録した投手陣の再整備が不可欠。そのためにも、小川が後半戦のような抜群の安定感を見せ、軸としての役割を果たすことが求められるだろう。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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