もしNPBにピッチクロックがあったら? “違反リスク”は7人…「5秒」の改善必要な右腕も

阪神・伊藤将司(左)と中日・高橋宏斗【写真:中戸川知世】
阪神・伊藤将司(左)と中日・高橋宏斗【写真:中戸川知世】

12球団の規定投球回到達投手の「投球間隔」をデータ分析

 試合時間短縮を目的として、今季からメジャーリーグで導入されて話題となった「ピッチクロック」。投手はボールを受け取ってから、走者なしでは15秒以内、走者ありでは20秒以内に投球動作に入る必要があり、超過するとボールが宣告されるというルールだ(打者も残り8秒までに打席での準備を整えないとストライクが宣告)。NPBではまだ実施されていないが、MLBで取り入れられたルールが数年後に日本にやってくるという例は過去にもあり、投手としては“対策”をしておくに越したことはないだろう。

 では、仮に今季「ピッチクロック」がNPBに導入されていたら、“違反”を取られる可能性があった投手はどれくらいいたのだろうか。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)が提供する「Timer Equivalent」というデータから探ってみたい(記録は10月7日現在)。これは、投手が投球してから返球を受けるまでを「6秒」と仮定し、前の投球から次の投球までの間隔(秒)からその6秒を引いて、平均何秒の投球間隔で投げられているかを表している。いわばピッチクロックのルール前提での「投球間隔の仮想値」を示している。

 12球団の規定投球回到達投手を対象に調べると、「走者なし」で最も数値が高かったのはヤクルト・小川泰弘と阪神・伊藤将司で「11.6」。以下、日本ハム・伊藤大海(10.8)、DeNA・東克樹(10.7)、中日・高橋宏斗(10.4)が2桁だったが、違反となる「15」を超える投手はいなかった。

 一方で「走者あり」を見ると、違反となる「20」を超える投手が7人いた。最も高いのは高橋宏で「24.9」。以下、小川(22.6)、伊藤将(21.4)、オリックス・山本由伸(21.0)、日本ハム・上沢直之(20.9)、楽天・則本昂大(20.5)、阪神・村上頌樹(20.2)と続く。あくまで推定値ではあるが、山本や上沢は今オフのメジャー挑戦も目されているだけに、注意すべきポイントとなるかもしれない。

 走者あり・なし共に高い数値だった高橋宏は、今季防御率2.53ながら援護率が「2.59」と打線の援護に恵まれなかった。しかし、与四球数51はリーグワーストを記録。さらに投球間隔が長くなる傾向があった。テンポの良いピッチングがリベンジの来季に向けた鍵になる可能性もあるだろう。

【動画】1球投げるのにまさかの「2分」 長すぎる投球間隔に非難の声続出

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