大胆スタイル変更で17年目の“キャリアハイ” 打撃の進化で見せた「3.86」の特異性

ロッテ・角中勝也【写真:小林靖】
ロッテ・角中勝也【写真:小林靖】

ロッテ角中、17年目で大胆なモデルチェンジ

 レギュラーシーズン最終戦にしてクライマックスシリーズ(CS)の切符を手にしたロッテ。躍進の立役者といえるのが、角中勝也外野手だ。ここ数年は打撃不振や怪我で不本意なシーズンが続いていたが、今季は打席こそ規定打席の約半数の「244」も、キャリアハイの9本塁打をマーク。OPSも首位打者に輝いた2016年の.877に次ぐ.861と見事な復活を果たした。

 今季の角中のデータで変化が見られたのがカウント別のスイング率だ。これまで浅いカウントではボールを見ていく傾向にあったが、ファーストストライクを中心に、ストライクゾーンに来た投球に対してスイングをかける割合が上がっている。その影響もあり、1打席あたりの投球数を示すP/PAは「3.86」まで減少。これはリーグ平均に近い数字だが、角中のキャリアでは最少の記録だ。粘り強く相手投手に球数を投げさせるスタイルから一転、早い段階から勝負を仕掛けるアプローチに変化している。

 コース別の対応を見ると、追い込まれる前はどのコースに対しても積極性が増した。中でも、近年は30%台を推移していた内角球に対するスイング率が大きく上昇。角中といえば、ホームベースに近い位置に立って構えるのが特徴だ。その中で、他の選手と比較して窮屈なボールとなるインサイドのストライクゾーンを果敢に振っていく姿勢が伺える。

 そして内角のボールを捉えた際の打球方向に注目してみると、アプローチの変化がより鮮明になる。レギュラーに定着した2012年以降、内角球をセンターから逆方向に打ち返す割合は35~50%で、特にここ2年はその傾向がより強くなっていた。しかし、今季は一転して割合が8.3%にまで激減。右方向への打球が7割近くを占め、インサイドの球を強く引っ張るというデータが顕著に出ている。

 直近2年は、内角打率が1割台と苦しんでいたが、打撃スタイルを変えた今季は同打率が.311にまで改善。さらには6本塁打と、長打も大きく増える結果となった。過去に2度の首位打者を獲得するなど、卓越したバッティング技術を備えていることはいうまでもない。そんなベテランの変化を恐れないモデルチェンジが、復活への道を切り開いたといえる。

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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