パNo.1得点数も…2年連続V逸の“不思議” リーグ最低「-0.8」鷹の課題となる泣き所
得点数、ホームラン数はリーグ最多も…課題のポジションが浮き彫りに
ソフトバンクは2023年のレギュラーシーズンを3位で終えた。16日、ロッテとのクライマックスシリーズファーストステージに敗れると、17日には藤本博史監督の退任が決定。2022年に2軍監督から昇格する形で指揮官に就任したものの、リーグ優勝奪還はならなかった。来季は新体制で迎えるソフトバンクだが、巻き返しに必要な課題はどこにあるのか。今季の数値をもとに検証していく。
今季のソフトバンクは打撃面でのチーム成績が際立っていた。得点数は536でリーグトップ。本塁打数も104で同2位タイ。なかでも新加入の近藤健介が本塁打(26本)、打点(87打点)、出塁率(.431)の3つのタイトル、柳田悠岐が最多安打(163本)を獲得するなど、リーグ随一の破壊力を誇る打線だったと言える。ただ、泣き所となったポジションも存在する。
セイバーメトリクスの観点から分析する株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータで検証すると、弱点が顕著に浮かび上がってくる。守備全般での貢献を示すUZR(Ultimate Zone Rating)の指標によると、一塁(-6.3)がリーグ最下位、遊撃(-11.6)がリーグ5位。また、リーグの平均的打者に比べてどれだけチームの得点を増減させたかを示す打撃指標「wRAA」で、一塁が-0.8でリーグ最下位、三塁が-8.1で同5位、中堅が-16.6で同4位となっている。
UZRとwRAAにおいて、一塁は共にリーグ最下位の数値。今季一塁の最多出場は中村晃の118試合。チーム3位の140安打を放ち、レギュラーとして活躍したが、得点圏打率は.226、打点も37と昨年から数字を落としている。助っ人野手4人の合計本塁打数がわずか1本と、全くと言っていいほど戦力にならず、起用の選択肢が限られた点も影響していると言えるだろう。
またシーズン当初から、三塁と中堅のレギュラーとして起用されていた栗原陵矢と牧原大成の途中離脱。以降、中堅には周東佑京が定着したが、三塁は川瀬晃など日替わりでの選手起用が続き、チームの得点力向上にはつながりにくかった。小久保裕紀2軍監督の就任が濃厚とされる来季、弱点を埋めるためにどんな動きがあるか、助っ人野手の補強も含めて注目が集まる。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。