偶然じゃない“由伸攻略”不気味だったロッテ 初戦は黒星も…専門家が注目した追加点

CSファイナルステージ初戦を戦ったロッテ・吉井理人監督【写真:荒川祐史】
CSファイナルステージ初戦を戦ったロッテ・吉井理人監督【写真:荒川祐史】

3年連続「投手4冠」の山本から初回に3点を奪うなど10安打5得点

■オリックス 8ー5 ロッテ(18日・京セラドーム)

 ロッテは18日、オリックスとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦(京セラドーム)に5-8で敗れた。それでも、山本由伸から初回に3点を奪うなど計5得点と打線の勢いを感じさせる内容。敗れはしたが、難攻不落のエースを“攻略”できた理由を、野球評論家の新井宏昌氏が分析した。

 ロッテ打線が怒涛の攻撃で敵地を沈黙させた。初回先頭の荻野が投手強襲の内野安打を放つと、藤岡も中前打で続き、犠打で1死二、三塁の好機。ここでポランコが右中間へ2点適時二塁打を放つと、さらに満塁から山口の併殺崩れの間に1点を追加し、初回に3得点を奪った。

 その後も同点の6回に荻野が中前適時打、7回にもポランコが右犠飛を放ち、終わってみれば計10安打5得点。CSファーストステージ第3戦では3点を追う延長10回に一挙4点を奪う“奇跡のサヨナラ勝ち”を演じたチームの勢いに、新井氏は「序盤はバットの芯で捉えなくてもヒットゾーンに落ちることもあり勢いそのままで、後半はしっかり捉えての追加点。野手陣は恐れることなく自分たちのスイングができていた」と語る。

 ロッテは、山本とはレギュラーシーズンで4度対戦して1勝3敗。28イニングで13安打2得点と苦しみ、前回登板の9月9日にはノーヒットノーランを許していた。他球団を含め「山本=オリックス勝利」の構図が出来つつあるが、ロッテベンチにその雰囲気は見えなかったという。ファウルで粘り、ボール球には手を出さない。打席での落ち着きはシーズン以上のものを感じさせた。

「ポストシーズン、ましてやエースとの対戦では打者には力みが生じて、本来持っているヘッドスピードは出ず、ボール球にも手が出る。それが、ファーストステージであれだけのゲーム展開をしてきた。失うものがなく、いい意味でリラックスできていた。初回の3点だけで終わらず6回、7回と追加点を奪えたことは敗れはしたが、今後に繋がる」

CSファイナルステージは2013年から10連敗中、投手陣の立て直しが鍵に

 絶対的エースから5得点を奪い“攻略”したことで、野手陣はこの先も自信を持って打席に入れるという。だからこそ「勝敗は投手がカギを握る」と、先発、リリーフ陣の奮起が求められる。先発の美馬は3回まで無得点も、4回に一挙3失点で降板。6回には中村稔、東妻が踏ん張り切れず4失点。ファーストステージからリリーフ陣の登板数が重なり、負担も大きくなっている。

 アドバンテージを含めると、この日の1敗で19日も敗れれば一気に王手をかけられることになる。ただ、新井氏は「野手に関しては、この勢いは続いていく」と見ている。

 荻野、角中のベテラン勢が好調をキープし、山口ら若手も臆することなくスイングしている点を挙げ「攻撃の形は素晴らしい。バントを一発で決めるなど、リズムはできている。まだ、まだ希望はあると見ていいのではないでしょうか」。相手を上回る11安打を放った打線は、相手にとっても脅威になる。

 この一戦を含め、CSファイナルステージは2013年から10連敗中。短期決戦で疲れの残る投手陣をいかに立て直すことができるか。ミラクルを演じてきた吉井監督の采配にも注目が集まる。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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