オリ21歳は「稼げる選手になる」 専門家も太鼓判…適時打を生んだ“修正力”

適時打を放ったオリックス・紅林弘太郎【写真:荒川祐史】
適時打を放ったオリックス・紅林弘太郎【写真:荒川祐史】

オリックスはエース山本が初回3失点スタートも打線がカバーし逆転勝利

■オリックス 8ー5 ロッテ(18日・京セラドーム)

 オリックスは18日に京セラドームで行われた、ロッテとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦に8-5で勝利した。先発の山本が初回に3失点と苦しい展開も、打線が援護し逆転勝利。野球評論家の新井宏昌氏は「紅林が見せた打席での切り替え」と、勝敗を分けたポイントを挙げた。

 絶対的エースが初回に3失点。重苦しいムードを吹き飛ばしたのは4回だった。2死一、二塁から紅林が右中間へ2点適時二塁打を放つと、続く宗が左前適時打を放ち同点に追いつく。1点を失った直後の6回は杉本、紅林、中川圭の適時打などで一挙4点を奪い逆転に成功した。

 序盤はロッテの勢いに飲まれる形にはなったが、見事な逆転劇に新井氏は「山本は初回のフィールディングで自らを苦しめた。荻野、藤岡の当たりは上手く処理していれば無失点スタート。ただ、それでも100球以上を投げ7回まで先発の役割は果たした。敗戦ムードを救ったのは野手の踏ん張り」と、称えた。

 オリックスに勝機を呼び寄せたのは紅林が見せた、打席での“思考の変化”だという。4回の第2打席でロッテ・美馬から放った右中間への2点適時打の場面。カウント2-1からの4球目、甘く入ったカットボールを強振するも仕留めきれずファウルになり、天を仰ぎ悔しそうな表情を浮かべた。だが、その後フルカウントになると6球目のストレートを逆らわずに右中間へ弾き返し、追撃の適時打が生まれた。

「右打者は自分のスイングするためセンター方向から左中間へ引っ張る傾向がある。あの場面でも適時打の前のスイングは少し強引さが出ていた。それでも、追い込まれてから切り替え、自分の役割を徹底した。これができるようになると自然と率も上がってくる。ケースによって打撃を変え、やるべことができる打者はチームにとっても貴重な存在です」

 紅林がレギュラー定着となった2021年は10本塁打をマークするなど、長打力が魅力の大型遊撃手として期待された。だが、昨年までの2年間は打率2割前半と苦しみ確実性が課題とされていた。高卒4年目の今季は127試合に出場しキャリアハイとなる122安打、打率.275、出塁率.318をマーク。リーグ3連覇、日本一など試合経験を積んだことで打撃内容も変わってきているという。

 6回無死一、三塁から放った決勝の右前適時打も、2度の空振り後に逆らうことなく軽打で奪った一打だった。「大事な試合で結果を出したことを覚えておけば、この2本のタイムリーは財産になる。この先“稼げる”選手になる」と新井氏。成長著しい背番号「24」の打席に今後も期待が高まる。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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