「青年監督」初年度での成績好転は希少… チーム改革へ自身の“色”打ち出しは急務

巨人・阿部慎之助新監督(左)と楽天・今江敏晃新監督【写真:小林靖】
巨人・阿部慎之助新監督(左)と楽天・今江敏晃新監督【写真:小林靖】

2人の新監督…巨人・阿部監督は44歳、楽天・今江監督は40歳

 プロ野球ではセ・パともに、日本シリーズ進出をかけてクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージで激戦が繰り広げられている。選ばれし4チームを除く8球団では、すでに来季に向けた編成が本格化。巨人では44歳の阿部慎之助監督、楽天では40歳の今江敏晃監督が誕生した。いまだ現役時代の印象が残る“青年監督”の誕生だが、その道のりは決して明るいと言えない、険しい戦いが待っている。

 過去10年のNPBで、45歳以下で開幕を迎えた指揮官は4人。ともに、若き力でチームを牽引することを期待された人事だった。

 2015年にヤクルト監督に就任した真中満氏は、2008年の引退直後から1軍・2軍で指導者を務め、小川淳司監督の後を受けて、チームを率いることになった。初年度は前年の最下位から見事に立て直し、セ・リーグ優勝を果たした。しかし、翌2016年は5位、2017年は96敗を喫し最下位に沈んだ。前任者だった小川氏に監督を譲り、この年限りで退団した。就任直後に前年の成績を上回ったケースはこの真中氏のみで、他の3人は厳しい戦いを強いられた。

 2016年に41歳の若さで名門球団を託されたのは、巨人・高橋由伸監督。10年間指揮を執った原辰徳監督からバトンを受けたが、苦悩の初年度となった。開幕4連勝を飾り、幸先のいいスタートを切るも、5月には8連敗を記録するなど、結果は前年と変わらず2位。優勝が至上命題のチームにおいて納得できる順位ではなかった。翌2017年にはFAで山口俊、陽岱鋼らを獲得するも、まさかの4位に後退。2018年は岡本和真らが台頭も3位に終わり、こちらも前任者の原氏に再建を託し現場を去った。

 ロッテで指揮を執った井口資仁監督は、現役引退直後の2018年に監督就任。前年に87敗を喫したチームの再建を託されたが、大きな順位の変化はなく初年度は5位に沈んだ。それでも翌年以降は4位→2位→2位と徐々に成績は向上。優勝候補にも挙げられた2022年は無念の5位に終わり退任も、佐々木朗希らの若手を丁寧に育成した手腕は一定の評価を得た。

 2020年に楽天で指揮を執った三木肇監督は当時43歳。平石洋介前監督のもと、3位でCS進出したチームのさらなる強化が期待された。前半戦こそAクラスを死守するも、徐々に失速。最終的には前年を下回る4位でシーズンを終えた。オフには前年まで務めた2軍監督に配置転換される異例の人事で、石井一久監督に1軍の指揮を託した。

 上記とは逆のパターンで、近年ベテラン監督へのバトンタッチの例を見てみると、今季の阪神(矢野監督→岡田監督)は3位から一気にリーグ優勝、吉井理人監督に交代したロッテも5位から2位に躍進した。高橋監督から原監督に代わった2019年の巨人もリーグ優勝を果たしている。

 もちろんチームの成績は、監督の年齢で左右されるものではない。それでも指導者としてのキャリアや求心力が、多少なりとも影響することは容易に想像できる。2人の若き新監督には、自身の強みを生かしてチーム強化を成しえることを期待したい。

(Full-Count編集部)

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