なぜ東都から“ドラフト1位”が7人輩出? 史上最多の指名…当事者語るハイレベルな背景

東都リーグから7人がドラフト指名された【写真:中戸川知世、加治屋友輝】
東都リーグから7人がドラフト指名された【写真:中戸川知世、加治屋友輝】

國學院大・鳥山泰孝監督は「各分野のスペシャリストが現れている」

「2023 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」では即戦力揃いの東都大学リーグから7選手、全員投手が指名された。東京六大学リーグと並び、全国から有望選手が集まる「戦国・東都」から、なぜ多くの1位選手が誕生したのか。指名選手や監督らがその背景について考察した。

 史上初となった同一リーグから7人のドラフト1位が誕生した。國學院大の武内夏暉投手は西武。中大・西舘勇陽投手が巨人。青学大・常広羽也斗投手が広島。同・下村海翔投手が阪神。亜大・草加勝投手が中日。専大・西舘昂汰投手がヤクルト。東洋大・細野晴希投手が日本ハムがそれぞれ、交渉権を獲得した。

 2人の1位投手を生んだ青学大の安藤寧則監督は「大学野球の最高峰だと思ってます。(その)一番(の要因)は入れ替え戦があることだと思います。入れ替え戦という良い意味での違和感のあるリーグ。お互いが切磋琢磨して、打者の力が上がれば、当然、投手の力も上がっていく。投手の力が上がれば、打者のレベルも上がっていく。そういった結果(7人の)指名に至っていると考えます」と指名会見で述べた。中大・清水達也監督も「東都は入れ替え戦があり、1球で天国と地獄が別れる環境。その中で結果を出すことが自信に繋がる」と話した。

 日米大学野球の侍ジャパンメンバーだった広島1位の常広は日本代表の選手たちを見渡し、東都のレベルの高さを実感したという。阪神1位の下村は「春は青学がとても好調で、日本一まで駆け上がったが、秋は簡単ではなく、かなり苦しい試合もあったので、そこはリーグのレベルの高さかなと思います」と戦いながら、そのレベルの高さを実感した。

東洋大・井上大監督は「難しい質問」…今回は「稀なケース」とも

 東洋大・井上大監督は「難しい質問」と思考を巡らせていた。東都の入れ替え戦が今に始まったわけではないため、直接的な要因と考えるのは難しいようだ。「他の大学との切磋琢磨が激しい。それが大きいのではないかと思うが、ただ今回に関しては稀なケースだと思います」と話すように異例ともいえる。日本ハム1位の細野は「監督がおっしゃった通り、入れ替え戦があるのは大きいと思う。あと、他の東都の投手と話をすると、みんな負けず嫌い。それも要因だと思います」と述べた。

 國學院大・鳥山泰孝監督には独自の視点があった。20年前は高校生で140キロを計測する投手がいれば“プロ注目”だった。最近の高校生は150キロ投手が増えてきた。そして、選手たちは順調に東都リーグで成長の階段を昇ってきた。目を向けたのはアマチュア球界の指導者の学びや、選手たちのトレーニングへの取り組む姿勢だった。

「中学生世代の指導者のレベルが上がったことが、こういう選手が出る土壌になっていると思います。東都の各大学でも各分野のスペシャリストが現れて、体作りに当たっています。能力が引き出された結果だと思います。10年後には170キロが出る時代になっているのではないでしょうか」

 國學院大も専門のトレーナーが選手と向き合い、夢への後押しをしてきた。國學大だけでなく、他の大学の指導者、コーチたちも最新鋭のトレーニングを学び、歩みを止めていない。データの活用も大きい。入れ替え戦で切磋琢磨し続ける選手たちの取り巻く環境の変化が大きくあると言っていい。

(Full-Count編集部)

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