18歳には酷すぎた2時間「これが現実」 無言で去った会見場…絶対忘れない一日

会見場で指名を待つ広陵・真鍋慧(右)【写真:真田一平】
会見場で指名を待つ広陵・真鍋慧(右)【写真:真田一平】

表情を変えずにドラフト会議の行方を見つめていた広陵・真鍋

 高校通算62本塁打を誇るスラッガー・真鍋慧内野手(広陵)が26日、都内で行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」でまさかの指名漏れとなった。注目を集めた「広陵のボンズ」は3位以上での指名を希望し、4位以下であれば大学進学の意向を各球団に伝えていたため、プロ入りは4年後の夢となった。

 校内に設けられた会見場には多くの報道陣が集まった。真鍋は、ドラフト会議が始まる1分前に、中井哲之監督とともに姿を現すと、目の前に設置されたドラフト中継が映るテレビを見つめながら指名を待った。しかし、名前は呼ばれることなく焦燥の時間が過ぎていった。

 各球団の指名が進むにつれ、学校関係者も会見場に駆けつけて願ったが、希望していた3位までに名前は呼ばれず。4位までの指名を見届けたあと、中井監督とともに退席した。入室から約2時間、真鍋の表情が変わることはなかった。

中井監督「真鍋に力がないとは思っていません」

 退席後、真鍋本人の取材は行われず、中井監督のみが報道陣に対応。真鍋の様子について「すごくショックを受けていた」と話し、落ち込む教え子に「これが現実だから、悔しかったらそのぶん頑張るしかない」と伝えたところ、噛み締めるように18歳はうなずき返した。

「真鍋に力がないとは思っていません。12球団のスカウトの方に来ていただき、評価も高かったので指名されるかなという思いはありました」

 期待が高かったからこそ、余計に苦しい。「これからどんな辛いことがあっても“この日”を忘れずにやるしかない。大学に進学しても花が開かなかったら、それくらいの選手だったと思われるので、現実を見てしっかりと頑張らせたいし、私自身も真鍋に対して頑張りたい」と前を向いた。

 真鍋は1年夏から主軸を務め、3度出場した甲子園では8試合で打率.448、7打点の成績を残し、早くから注目を集めていた。本人が望んだ結果にはならなかったが、プロ入りの夢が閉ざされたわけではない。3年間、成長を見守った中井監督が「非常に負けず嫌いで頑張れる子」と評した反骨心を胸に、大学での4年間で自らを磨き直し、もう一度、プロの舞台を目指す。

(真田一平 / Ippei Sanada)

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