由伸や朗希と対峙も…突出した近藤健介の凄み 現代野球に適応した偉大なる「32.2」

ソフトバンク・近藤健介【写真:矢口亨】
ソフトバンク・近藤健介【写真:矢口亨】

ソフトバンクの近藤健介は、直球に対する得点貢献が12球団トップ

 ソフトバンクの近藤健介外野手は今季、打率.303、26本、87打点の好成績で本塁打と打点の2冠に輝いた。首位打者の頓宮裕真捕手(オリックス)に、僅か4厘差で3冠王は逃したものの、FA移籍1年目から実力を発揮した。今や日本球界屈指の打撃技術を誇る30歳は、数値の面から見ても“現代野球”に重要な資質を備えていた。

 セイバーメトリクスの指標を駆使して分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、パ・リーグの直球の平均球速は「146.8キロ」となっており、2019年の同数値の「143.7キロ」と比べ、この5年間で3キロもアップしている。実際、最速165キロを誇るロッテ・佐々木朗希投手や、3年連続で沢村賞を受賞したオリックス・山本由伸投手ら、力強い直球を武器とするパワーピッチャーが多い。

 その中で、近藤の打撃は異彩を放っている。ストレートに対する得点貢献を示す「wFA(Fastball runs above average)」は「32.2」となっており、規定打席に到達した打者の中では12球団トップの数値だ。同2位はヤクルト・村上宗隆内野手の「27.2」、パの2位は楽天・浅村栄斗内野手の「19.8」となっており、近藤の数値が突出していることがわかる。

 この“球威全盛”の時代で直球への適応力が高いことは、大きなアドバンテージとなる。近藤がハイレベルな成績を残すことも納得できる。

 プロ3年目に1軍での出場機会が増えて以降、「wFA」がマイナスを記録したのは、2014年の1度のみ。それ以外では直球に対しては常に高い得点貢献を示している。卓越したバットコントロールと、無類のストレートの強さで来季はどんな成績を残してくれるのか。今から楽しみだ。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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