オリはなぜ満塁策を選択? 痛恨のサヨナラ負けも…専門家は分析「まだ分がある」

オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】
オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】

同点の9回1死三塁から中野、森下を申告敬遠し満塁策も…

■阪神 4ー3 オリックス(1日・甲子園)

 オリックスは1日、甲子園で行われた阪神との「SMBC日本シリーズ2023」第4戦を3-4でサヨナラ負け。対戦成績は2勝2敗の五分となった。中嶋聡監督は9回に満塁策を選択するも痛恨の敗戦。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は「アウトの確率を上げるフォースプレーを選択したのではないか」と分析した。

 2度追いつく粘りを見せたが、誤算は9回だった。6番手として登板したワゲスパックが1死から近本に四球を与えると、続く中野の打席で2暴投が絡み1死三塁。フルカウントになり中嶋監督は中野を申告敬遠すると、続く森下にも申告敬遠で満塁策を選択。だが、大山には左前適時打を浴び試合は決まった。

 制球に苦しむワゲスパックに対し満塁策は酷にも見えたが野口氏は「これが2死なら確実に満塁策は選んでいない。三塁にいった時点で欲が出たわけじゃないが、ホーム併殺を狙ったのではないでしょうか」と指摘。オリックスの内野は前進守備を敷き、本塁での併殺にかけるしかなかった。

 満塁にするメリットはあった。一、三塁なら二塁での併殺を狙うこともできたが、このシリーズでは併殺崩れの失点が目立っていた。仮に中間守備で内野ゴロなら本塁はクロスプレーの状況。三走・近本の走力を考えると、全ての塁を埋め「(タッチ不要の)フォースプレーにすることでアウトの確率は上がる。ツーシームでゴロを打たせることができるワゲスパックにかけるしかない。誤算だったのはボール先行になったことと、山崎颯の不在」と説明した。

オリックス・山本由伸【写真:荒川祐史】
オリックス・山本由伸【写真:荒川祐史】

第6戦はエース・山本、第7戦は好投を見せた宮城が控える

 打線は粘りは見せたものの9イニング中、6イニングで先頭打者を出しながら、あと1本が出ない展開。1点を追う2回は先頭・頓宮が三塁打を放ち流れが一気に来るかと思われたが、得点は1点止まり。一気に試合を決めることができず「ベンチとしてはやるべきことは全てやった。ただ、ポイントゲッターに1本が出ない。これで阪神に流れが傾いていった」と野口氏。

 第1戦から0-8、8-0、5-4、3-4と第4戦まで2勝2敗、総得点も「16-16」と全くの五分。甲子園での胴上げはなくなり、本拠地・京セラドームで行われる第6戦までもつれることが決まった。勢いは完全に阪神ペースになったが野口氏はまだ、オリックスにも分があると見ている。

「第6戦には山本の登板が濃厚。仮に第7戦にいっても好投した宮城が控えている。だからこそ第5戦は両チームにとって非常に重要になる。オリックスは第5戦を取れば山本、宮城の2試合で1勝すればいい。逆に阪神は敗れれば、もう一度山本を崩さなければいけない。初戦で攻略しているものの、次はそう簡単にはいかないでしょう」

 痛恨のサヨナラ負けを喫したが、ブルペン陣に影響はないとみている。「今日の試合でダメージを受けたのはワゲスパックだけ。第5戦は他の投手と入れ替えれば2日空くことになり切り替えは可能。山岡、山崎颯らが入る可能性もあり、いつも通りのブルペンで勝負できる」。激戦が続く“関西ダービー”は、まだまだ面白くなりそうだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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