専門家が疑問視した「山本ベンチ入りの意図」 勝ちパターン崩壊…オリに見えた“迷い”

オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】
オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】

2点リードの8回に山崎颯を投入も1点差に追い上げられ、代わった宇田川が逆転打を浴びる

■阪神 6ー2 オリックス(2日・甲子園)

 オリックスは2日、甲子園で行われた阪神との「SMBC日本シリーズ2023」第5戦に6-2で敗れ、対戦成績を2勝3敗とし崖っぷちに立たされた。勝ちパターンの山崎颯、宇田川が痛恨の失点。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は「山本のベンチ入りで逆に迷いが生まれた」と分析した。

 相手のミスにもつけ込み、7回を終え2点リードの状況。中嶋監督は8回に自慢の投手陣をつぎ込むも、猛虎打線につかまった。第3戦、第4戦にベンチ外だった山崎颯をマウンドに送るも木浪の内野安打に暴投が絡み、代打・糸原の左前打で一、三塁。ここで近本に右前適時打を浴び失点。中野の犠打で1死二、三塁としたところで降板を告げられた。

 1点差となり、第2戦から4連投となった宇田川がマウンドに上がるも、森下に左中間へ2点適時三塁打。大山にも中前適時打を浴びるなど、この回一挙6失点。これ以上にない投手リレーで逃げ切りを図ったが、オリックスベンチは呆然と見届けるしかなかった。

 盤石の勝ちパターンで痛恨の逆転負けを喫したオリックス。野口氏は「ベンチも非常に迷ったと思います。2戦連続でベンチ外だった山崎颯は制球、球のキレともに本来の投球ではなかった。ベンチ入りのリリーフをみても1点差の場面では宇田川しかいない。昨日のサヨナラ負けから多少、ベンチの焦りや迷いがあったかもしれません」と指摘した。

山本のベンチ入りは「日本シリーズで名前だけ入れる無駄なことはしない」

 さらに、野口氏が注目したのは、この日ベンチ入りしていたエース・山本の存在だ。第1戦に登板し、第6戦での先発が有力視されていた右腕。短期決戦の日本シリーズ、ましてや山岡、ワゲスパックを外した救援陣のなかで「名前だけ入れる無駄なことはしない」と、展開により登板の可能性があると見ていた。そんな中、2点リードの8回は絶好の登板機会だった。

「山本の使い方をどう考えていたか。リリーフで使うならブルペンで準備もしていたはず。2点リードの展開になったから“いつもの勝ちパターン”を投入して、山本には『第6戦の先発を頼むぞ』と、そんな簡単な話ではない。山本のベンチ入りで逆に迷いが生まれたのかもしれません」

 今季初の3連投を解禁するなど、リリーフ陣の負担は大きくなっている。「1日移動日はありますが、宇田川が使えなくなる可能性もある。2日連続で山岡が外れ、高卒1年目の斎藤がベンチ入りするなど投手王国と言われるオリックスらしからぬ展開。次の勝ちパターンをどうやりくりするかも注目です」と野口氏。

 敵地・甲子園で2戦連続の逆転負けし、日本一連覇に向け崖っぷち立たされたオリックス。本拠地・京セラドームで迎える第6戦にエース・山本の先発はあるのか。中嶋監督の采配にも注目が集まる。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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