続く助っ人野手の“受難” 貢献度は過去10年で最低…ハードル上がった日本球界への適応

すでに退団が発表されている日本ハムのアリスメンディ・アルカンタラ、中日のアリスティデス・アキーノ、西武のマーク・ペイトン(左から)【写真:荒川祐史】
すでに退団が発表されている日本ハムのアリスメンディ・アルカンタラ、中日のアリスティデス・アキーノ、西武のマーク・ペイトン(左から)【写真:荒川祐史】

貢献度の指標「WAR」の最高数値が直近10年で最も低かった

 2023年のプロ野球は助っ人野手の不振が際立った。規定打席到達者はセ、パともに3人。打撃や走塁、守備、投球を総合的に評価して貢献度を表す指標「WAR」の最高数値は過去10年で最も低かった。

 規定打席到達者はセがサンタナ、オスナ(ともにヤクルト)、ノイジー(阪神)で、パがマキノン(西武)、マルティネス(日本ハム)、ポランコ(ロッテ)。打率3割はサンタナのみで、最多本塁打はタイトルを手にしたポランコの26本だった。

 セイバーメトリクスの観点から野球の分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、助っ人で最もWARが高かったのはサンタナとマキノンで2.1。ちなみに投手ではグリフィン(巨人)の4.1だった。

 データのある2014年以降では今年の2.1が最も低い。これまで最も低かったのは2015年のレアード(日本ハム)で2.6。最高値は2018年のビシエド(中日)で5.0だった。

 また、2.0以上が2人というのも2014年以降でワースト2位の少なさ。最も少なかったのは2022年の1人(ビシエドの2.8)だから、やはり近年の不振は顕著だ。1980年代にはブーマー、バースと2人の3冠王が誕生し、10年前にはバレンティンがNPB最多の60本塁打を記録するなど助っ人が席巻した時代もあったが、今や昔。レベルの上がった日本球界に適応できる選手の見極めはますます重要になってきそうだ。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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