解散から24年…復活した球団が“快進撃” 元楽天助っ人が躍動、大混戦の台湾プロ野球

26年ぶりの半期シーズン優勝を果たした味全ドラゴンズ【写真提供:CPBL】
26年ぶりの半期シーズン優勝を果たした味全ドラゴンズ【写真提供:CPBL】

「味全」は1999年オフに解散…2020年に2軍入、2021年に1軍公式戦に参戦

 5チームで行われている台湾プロ野球の後期は優勝チーム、プレーオフ進出チームが最後の最後まで決まらない大混戦となった。10月19日に行われた2位・楽天モンキーズと3位・中信兄弟との一戦は、中信兄弟が延長11回4-3でサヨナラ勝ち。プレーオフ進出に望みをつないだ。これにより、味全ドラゴンズの優勝が決定。この日は試合がなく、本拠地である台北市の天母球場でバーベキューをしながら中継を見ていた選手達は喜びを爆発させた。

 味全は1989年、台湾プロ野球が創設された際の4球団のうちの1球団。リーグ3連覇を果たした1999年オフに諸般の事情で解散。リーグから脱退したものの、2019年に台湾プロ野球第5の球団として20年ぶりに再参入を果たした。2020年に2軍公式戦、2021年からは1軍公式戦に参戦した。昨季プレーオフ初出場を果たすと、今季は参入時の目標通り3シーズン目での半期シーズン優勝を達成。味全の半期優勝は1997年後期以来、実に26年ぶりだ。

 優勝決定の約1時間前には、年間勝率を争っていた前期優勝の統一セブンイレブンライオンズが富邦ガーディアンズに敗れたため、年間勝率1位が決定。1999年以来、24年ぶりの台湾シリーズ進出も決めた。

 後期のチーム防御率がリーグ1位の3.14だった味全。先発では2016年に楽天でプレーしたジェイク・ブリガムが最優秀防御率(2.51)、リーグ2位の10勝。ドリュー・ギャノンが13勝で最多勝、最多奪三振(155)と、米国人右腕2人がローテーションの柱となった。

葉君璋監督が若手を称賛「成長ぶりには驚かされた」

 野手では、2019年ドラフト「いの一番指名」の若き4番サード、22歳の劉基鴻が打率.291、16本塁打、80打点、最多安打(136安打)と独り立ち、WBC代表の吉力吉撈・鞏冠は後期に調子を上げ、打率.284、23本塁打で2年連続ホームラン王に輝いた。今季通算300号を放った41歳のレジェンド、林智勝は代打出場がメインとなりつつあるが、自身の経験を伝え、チームの精神的支柱となっている。

 リーグ3連覇時の正捕手で、2019年の再参入時からチームを率いる葉君璋監督は、『ETTODAY』のインタビューで、「シーズン終盤の若い選手たちの活力、技術面の向上、プレッシャーに対する強さ、その成長ぶりには驚かされた」と語った。そして、「我々は後期優勝だけでなく、年間勝率1位にも輝いた。これは年間を通じて一定のレベルを維持できたことの証明であり、より得難いことだ」と選手を称えた。

 台湾プロ野球では昨季から、台湾シリーズ進出をかけたプレーオフが毎年実施されるようになった。前後期の優勝チームが異なる場合は、2チームのうち年間勝率が高い半期優勝チームが台湾シリーズに直接進出。もう1つの半期優勝チームが1勝のアドバンテージをもって、前後期共に優勝を逃した3チームのうち勝率が最も高いチームと、5試合3勝制のプレーオフを戦う。

 後期を制し、年間勝率1位となった味全が台湾シリーズ進出。前期優勝の統一がプレーオフへ回ることは決定していたが、後期2位の楽天と、3位の中信兄弟によるプレーオフ進出争いはもつれた末に楽天が制した。そして、7試合4勝先勝制の台湾シリーズでは味全と楽天が対戦することになった。果たしてどんな結果になるだろうか。

(「パ・リーグ インサイト」駒田英)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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