オリ育成右腕は「1年で戦力外が不思議」 評論家が絶賛…トライアウトの“掘り出し物”

オリックス・西濱勇星【写真:球団提供】
オリックス・西濱勇星【写真:球団提供】

リーグ3連覇のオリックス勢は「やはりレベルが高い」

 プロ野球12球団合同トライアウトが、15日に鎌ケ谷スタジアムで行われた。投手、野手合わせて59選手が参加し、各球団の編成、スカウトの前でアピール。豪快な一発、150キロを超える直球など球場を沸かせた。Full-Countでは、解説者として現地でプレーを見届けた元ヤクルト・坂口智隆氏に“アピールに成功した選手”を聞いた。

 午前、午後に分かれて行われたトライアウト。真っ先に出番が訪れたのはリーグ3連覇のオリックス勢だった。戦力外通告を受けた育成の西濱勇星投手、吉田凌投手は打者3人に対し無安打投球を披露。西濱は最速144キロの直球、吉田は伝家の宝刀・スライダーを武器に2奪三振の快投だった。

 坂口氏は独特な雰囲気が流れるトライアウトの1番手で登板した西濱を高く評価。「あの緊張感がある中で堂々とした投球。まだ体は仕上がっていないが、直球に力があり可能性しか感じない。1年で戦力外になったことが不思議なくらい」と絶賛した。

 吉田、3番手に登板した育成の左腕・辻垣高良投手も堂々としたマウンド捌きを見せていた。制球に苦しむことなく淡々と打者をねじ伏せる姿に「吉田選手はスライダーのキレは健在、辻垣選手も変則ですが変化球の制球も良かった。やはりオリックスの投手陣はレベルが高い」と、目を細める。

元西武・多和田は今年1年間軟式でプレー「準備期間も少ない中で素晴らしい」

 1年間独立リーグで腕を磨いた“元NPB勢”も好結果を残した。今季は九州独立リーグ・火の国サラマンダーズでプレーした元ヤクルト・中山翔太外野手は豪快な一発を含む2安打、元広島・山口翔投手は最速148キロの直球とフォークを武器に打者3人に対し無安打1奪三振の好投だった。

 坂口氏は今季まで同チームでコーチを務めていただけに「山口選手は打者に圧をかけることをテーマに1年間やって、それを体現できた。中山選手も状況に応じた打撃、持ち前のパワーも見せた。1年間でこれだけ成長、変化できることを証明できたのは本人たちの努力の結果。もっと良くなる」と“教え子”の成長を実感していた。

 さらに、2年ぶりにトライアウトに参加した元西武・多和田真三郎投手は低めの直球とスライダーを織り交ぜ無安打無失点。ステップ幅が広くリリースポイントが打者に近い独特な投球フォームは健在。今年は北海道の軟式野球チーム「六花亭」でプレーし、今回が2度目のトライアウトだった。

 2018年には16勝を挙げ最多勝に輝いた右腕の復帰に「本人も口にしていたが、まずは元気な姿を見せられたことが収穫。準備期間も少ない中であれだけのボールを投げるのは素晴らしい。ただ、今の状態で戻れるほどNPBは甘くない。しっかりと硬式球でトレーニングを積み、空白だった期間を克服できれば」と、エールを送る。

 その他にも3者連続三振を奪ったヤクルト・吉田大喜投手、最速152キロをマークした楽天・高田萌生投手、日本ハムの井口和明投手らについても「1軍クラスの力は確実に持っている。まだ、まだNPBで見てみたい選手」と評価していた。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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