驚異の打率5割「源田と一騎打ちになる」 桁違いの3年後…逸材23歳が叩きつけた挑戦状

豪州戦に出場した侍ジャパン・小園海斗【写真:中戸川知世】
豪州戦に出場した侍ジャパン・小園海斗【写真:中戸川知世】

広島の小園海斗、「最悪でも進塁打にできる技術」が一番の持ち味

 侍ジャパンの小園海斗内野手(広島)は18日、「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」(東京ドーム)のオーストラリア戦に「3番・遊撃」としてスタメン出場し、初回に中前へ先制適時打を放つなど4打数2安打2打点と活躍した。10-0の8回コールド勝ちに貢献。今大会の予選リーグ3試合で、打率5割(12打数6安打)の猛打を振るっている。絶対的な正遊撃手として君臨する源田壮亮内野手(西武)へ、挑戦状を叩きつける存在となるか。

 小園は予選リーグ3試合のうち、初戦のチャイニーズ・タイペイ戦と翌日の韓国戦では2番、この日のオーストラリア戦では3番を務め、いずれも遊撃手としてフル出場。オーストラリア戦で初回の先制打以上に持ち味を発揮したのが、1点リードで迎えた3回の第2打席だった。

 1死一塁で左打席に立つと、カウント0-2と追い込まれながら、真ん中やや外角寄りのチェンジアップを引っ張り、一、二塁間を破る右前打で一塁走者の岡林勇希外野手(中日)を三塁まで進め、さらに送球間に自らも二塁を陥れた。

 現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は「一塁に走者がいる場面で、外角の球を引っ掛けてでも走者の後ろ(一塁ベース寄り)にゴロを打ち、最悪でも進塁打にすることは、小園にとってシーズン中に広島で普通にやっていることです。基本的に2番に固定したいタイプだと、私は見ています」と評する。一方で内角打ちが巧みで、パンチ力もあるだけに、「今年の阪神・木浪(聖也内野手)のように8番か9番に置き、下位でチャンスをつくり上位へ回す役割を任せるのも、面白いかもしれません」と付け加えた。

守備力抜群の巨人・門脇誠、強肩のオリックス・紅林弘太郎も割って入る

 今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、源田が大会中に右手小指を骨折しながら最後まで強行出場を続け、優勝の原動力となった。逆に言えば、坂本勇人内野手(巨人)や今宮健太内野手(ソフトバンク)の体調が万全でなかったこともあるが、日本球界の遊撃手の層が薄かったと言えるだろう。ただ、ライバルも多い。今大会で二塁手に回っている門脇誠内野手(巨人)も守備力は抜群。故障で今大会出場を辞退した紅林弘太郎内野手(オリックス)の強肩にも魅力がある。

 ピカイチの存在感を示した小園は、まだ23歳。侍ジャパンが来年11月にプレミア12、2026年にWBCを戦っていく中で、現在30歳の源田にどう挑んでいくのだろうか。野口氏は「この3試合の輝きを今後も見せてくれるなら、近い将来、源田と小園の一騎打ちとなる可能性があるかなと思います。それに紅林、門脇がどう割って入ってくるか」と予想する。その上で「小園の課題は、打撃の安定感と守備でしょう」と指摘した。

 小園は今季、9月に月間打率.348(92打数32安打)と打ちまくったが、開幕直後の10試合は.053(19打数1安打)と不振を極め、約1か月半の2軍調整を余儀なくされた。好不調の波が激しいタイプなのだ。また、守備に関しては「十分にうまいが、ライバルの源田、紅林、門脇と比べてしまうと少し見劣りする」のが現状だ。

 さらに野口氏は「源田も今年のWBCでは、『怪我さえなければ、もっとやれたはず』という思いが残ったのではないか。完全燃焼できていないとすれば、次回のWBCで、もう1度本気でレギュラーを狙ってくるかもしれない。そう簡単にはポジションを渡してくれないと思います」と見る。いずれにせよ、3年後の次回WBCで侍ジャパンの遊撃手は、今年とは桁違いに強力な布陣となりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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