中3で144キロ…進学理由は「地元で勝ちたい」 プロ注目の逸材右腕が果たした完全復活

関東第一戦に登板した作新学院・小川哲平【写真:田中健】
関東第一戦に登板した作新学院・小川哲平【写真:田中健】

作新学院のエース・小川は7回から3番手で登板し3回無失点の好救援

「第54回明治神宮大会」高校の部が19日、神宮球場で行われ、作新学院(関東地区代表)が8-6で関東第一(東京代表)に勝利し、決勝進出を決めた。7回から救援したプロ注目のエース・小川哲平投手(2年)が3回無失点の力投で関東対決を制した。

 同点に追いついた直後の7回に満を持して背番号「1」がマウンドに上がった。先頭・成井聡外野手(2年)から140キロの直球で空振り三振を奪うと後続を抑え無失点。流れを断ち切ったエースの力投に打線も応え、8回には菅谷峻汰外野手(1年)が右翼席へ勝ち越しソロ。9回は味方のエラーと死球などで1死一、二塁のピンチを招くも、最後は二ゴロ併殺に仕留めガッツポーズを決めた。

 16日の初戦・北海(北海道代表)戦では9回8奪三振無失点の快投。中2日で迎えたこの日も、小針崇宏監督には「いつでも行けます」と伝えていた。これで今大会は12回無失点。好救援で打線にリズムを作り、勝利を呼び込んだ右腕は「絶対に点を与えないつもりで投げた。強気の投球で困ったら変化球に頼らず自信のある真っすぐで攻めた」と、充実した表情を見せ試合を振り返った。

 栃木・日光市立落合中では軟式野球部に所属し、3年時には144キロをマークするなど注目を集めていた逸材。今年の選抜では3回戦で甲子園デビューを果たしたが、打者2人に安打と犠打で1回を持たず降板。昨年10月から右肘の怪我に悩まされ本来の投球はできなかった。

 それでも、完全復活を果たし迎えた今秋は獅子奮迅の活躍。神宮では2試合で12回無失点、県大会からもここまで8試合に登板し53回を投げ10失点、防御率1.70の成績を残している。神宮大会前には東京六大学リーグを観戦し「エースであるべき人はどういう人物、どういう投球をするか。味方に守ってもらえる人間性、テンポの良さ。自分の投球で流れをチームに来させる投球」を学んだという。

 作新学院を選んだのは「地元で勝ちたい」という“地元愛”。2016年に今井達也(現西武)を擁し、夏の全国制覇を果たした大会も甲子園で観戦。「初めて作新の試合を見たのが優勝した時の1回戦。ここで自分がプレーしたいと思っていた」。偉大な先輩の姿を追いかけ、自身もプロ注目右腕にまで成長した。

 20日の決勝戦に向けては「バッテリーからリズムを作って。1点差ゲームになると思うので、一致団結して勝つことが目標。いつも準備はできている」と意気込み十分。今年最後の公式戦でもチームを勝利に導く投球を見せるつもりだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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