12球団最悪の与四球も…防御率2.30の“チグハグ” 打者は恐怖、打てない荒れ球「71.5」

西武・今井達也【写真:矢口亨】
西武・今井達也【写真:矢口亨】

今井は12球団ワーストの与四球率でもキャリアハイ11勝

 西武の今井達也投手は7年目の今季、キャリアハイとなる10勝(5敗)、防御率2.30の好成績を収めた。11月には野球日本代表「侍ジャパン」に選出されるなど、飛躍の1年となった。今季を振り返ると好成績を残しているにもかかわらず、12球団ワーストの指標も。特徴的な投球スタイルを見てみる。

 2日の契約更改では3500万円アップの年俸8000万円(金額は推定)でサイン。背番号を「11」から「48」に変更して挑んだ今季は19試合で自身初となる2桁勝利をマークした。防御率2.30の一方で、与四球数61は12球団ワーストタイ、死球も8個でパ・リーグ最多。与四球割合も11.4%と平均より悪い。

 今季の今井の投球イニングは133イニング。約2回に1人は四球で走者を出している計算になるが、防御率は90イニング以上ではリーグ7位と好成績を収めている。なぜこれほど抑えられるのか。セイバーメトリクスの指標などで分析する株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータをもとに見ていく。

 今季の今井は1イニング当たりの与四球+被安打を示す「WHIP」は1.11。ただ、出塁させた走者の非帰還率である「LOB%」はリーグトップの83.9%だった。ピンチでギアを上げ、出した走者を本塁に返さなかったことが、低い防御率につながった。

 また特徴的なのが本塁打とファウルを除く打球のアウト割合を示す「DER」が.746で12球団トップ。打っても安打になりにくいのが特徴だ。直球の平均球速は151.1キロ。ゾーン内でのコンタクト率は12球団トップ3位となる71.5%と当てにくさもある。打者にとっては多少荒れ球のほうが打ちにくいのかもしれない。

 来季は8年目のシーズン。先発陣も平良、隅田ら年下の選手が続々台頭している。チームを引っ張る存在として、2019年以来のリーグ優勝に導きたい。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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