「何をふざけたことを」 PL学園から貫く“量より質”、桑田2軍監督のコーチングの原点

巨人・桑田真澄2軍監督【写真:荒川祐史】
巨人・桑田真澄2軍監督【写真:荒川祐史】

PL学園1年夏に高校日本代表で米国遠征、ベースボールに刺激「もう衝撃的でした」

 巨人の桑田真澄2軍監督がFull-Count編集部のインタビューに応じ、自身のコーチング論を語り尽くした。10月16日に2軍監督に就任。「若い選手たちをいかに育てていくか。コーチや球団スタッフにも『学習する、挑戦するチームにしよう』と言っている。毎日が学びであり、挑戦である」。熱い口調で語る桑田のコーチング哲学に迫った。

 桑田のコーチングの基幹となっているのが「スポーツ医科学」と「量より質」の考え方だ。「量より質」は、PL学園時代に芽生えた。1年生投手として参加した高校日本代表の米国遠征。ここでベースボールとの“出会い”があった。

 舞台はサンフランシスコ。桑田を含む高校日本代表は燦々と太陽が降り注ぐ中で早くから練習していたが、米国代表は試合時間が近づいても試合会場に姿を現わさない。

「最初は場所を間違えたんじゃないかと思いました。すると(試合開始の)30分前にやっと到着しました。そして外野で軽くストレッチとキャッチボールをしただけで、あっと言う間に試合が始まりました。こんな野球があるんだと驚きました」

 当時桑田はまだ15歳。反復練習こそが、唯一の上達法だと思っていた。だが、米国代表のやり方は全く違う。ホームステイ先で「学校で習った英語で」米国の選手に質問をぶつけたという。

「もう衝撃的でした。野球をする環境から練習内容にいたるまで、海の向こうには日本の野球とは全く違う『ベースボール』というスポーツがあったということです」

PL学園・中村監督にお願い「練習は2、3時間で終えて下さい」

 米国滞在中の夜はメジャーリーグ・ジャイアンツやアスレチックスの試合も観戦。帰国後、意を固めてPL学園の中村順司監督に願い出た。

「1日練習は止めましょう。練習は2、3時間で終えて下さい」

 高校1年生から監督への意見。中村監督からは当然のように否定された。「何をふざけたことを言っているんだ。1年生で優勝したから天狗になっているんじゃないのか」。最初は取り合ってもらえなかったが、桑田は「練習は量より質」という考えを粘り強く主張した。

「甲子園に出られなかったら元の練習法に戻すからな」。中村監督は条件付きながらも、短時間練習を受け入れてくれた。その後、清原和博との「KKコンビ」で勝ち続け、桑田は甲子園通算20勝をマーク。2、3時間の全体練習がPL学園の練習として定着したのは言うまでもない。

「その頃から米国のトレーニング理論を勉強するようになりました。それ以来、僕の人生は改革、改革の連続です」。これが桑田の“原点”だ。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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