急造捕手で盗塁阻止、熾烈な首位打者争い… 楽天一筋18年で引退・銀次の功績

楽天・銀次【写真:球団提供】
楽天・銀次【写真:球団提供】

2005年高校生ドラフト3巡目で入団時は捕手、プロ入り後に内野手転向

 11月22日、楽天の銀次内野手が現役引退を表明した。銀次は球団発足2年目のドラフトで盛岡中央高から入団し、地元・東北のチームで18年間にわたってプレー。生え抜きの中心選手として、チームの成長と躍進を支え続けた存在だった。ここでは「みちのくの安打製造機」が見せた雄姿を改めて振り返っていく。

 銀次は2005年の高校生ドラフト3巡目で、捕手として楽天に入団。プロ入り後に内野手に転向して2軍で研鑽を積み、7年目の2012年に初めて規定打席に到達。当時の極端な投高打低の環境において打率.280を記録し、レギュラーの座を獲得した。2013年も主力として奮闘し、シーズン途中からは3番打者に定着。激しい優勝争いの中で打率.317と結果を残し、クライマックスシリーズと日本シリーズでも全試合で3番として出場。球団史上初のリーグ優勝・日本一にも多大な貢献を果たした。

 2014年は自己最高の打率.327を記録し、糸井嘉男外野手と熾烈な首位打者争いを展開。惜しくもタイトル獲得はならなかったものの、三塁手部門のベストナインに輝いた。2017年には一塁手部門でベストナインとゴールデングラブ賞を受賞。卓越した打撃技術と高いユーティリティ性は、チームに欠かせないものだった。2019年には規定打席に到達したうえでの打率.300超えを5年ぶりに達成し、キャリア最多の161安打を記録。2022年には代打の切り札として随所で勝負強さを発揮するなど、近年に至るまで存在感を発揮。通算1239安打は、楽天の生え抜き選手としては史上最多の数字だ。

 ここからは、銀次が残した名場面トップ3を紹介する。まずは2019年5月8日、1試合で5打数5安打、全方向に安打を放ったた試合だ。第1打席でレフト前、第2打席で二塁内野安打、第3打席で再びレフト前と、最初の3打席で猛打賞。さらに4打席目ではセンター前に安打を放つと、2点を追う9回にはライト前へ。全方向に安打を放って1試合5安打という、巧打者ならではの離れ業を披露した。

 2019年4月7日には急造捕手で盗塁を刺し、4イニングを無失点に抑える大活躍を見せた。捕手としてプロ入りしたものの、1軍の試合に捕手で出場したことはこの試合まで1度もなかった。しかし、チームが捕手を使い果たしたことでプロ14年目で初めて1軍でマスクを被ると、直後の9回には見事に盗塁を刺殺。その後も急造捕手とは思えない堂々たるプレーを披露し、延長も含めた4イニングを無失点に抑える大活躍を見せた。

 最後は、現役生活最後の安打が決勝タイムリーとなった2023年9月25日だ。同点の9回1死満塁の絶好機で代打に送られると、好投を続けてきた伊藤大海投手(日本ハム)から、シーズン初安打となる値千金の決勝打を放つ。結果的に現役生活最後のヒットとなった一打は、銀次らしさの詰まった巧みなバッティングによるものだった。

 球団発足後間もない時期から、生え抜きとしてチームに在籍し続けた銀次。サヨナラの場面における抜群の勝負強さや、チーム事情に応じてさまざまなポジションをこなしながら見せてきた好守によって、幾度となくチームを救ってきた大功労者だ。卓越したバットコントロールから放たれる天才的な安打の数々や、美しいバット回しといった華のあるプレーの数々は、パ・リーグファンの記憶に強く刻まれるだろう。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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