異例契約に識者も賛否「最悪の出来事」「見事」 大谷翔平の“962億円後払い”に物議

大谷翔平【写真:小谷真弥】
大谷翔平【写真:小谷真弥】

ある代理人は称賛…大谷とド軍の「見事な動き」

 大谷翔平投手がドジャースと結んだ10年7億ドル(約998億円)の契約が波紋を広げている。約97%にあたる6億8000万ドル(約962億円)が後払いで、契約期間の年俸は200万ドル(約2億8300万円)になるという異例の形となったためで、他のメジャー球団幹部や代理人の間でも賛否が分かれているという。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」が伝えている。

 同メディアは匿名を条件に十数人の球界関係者を取材。ある代理人は「さまざまな理由から、この契約は私がこれまで見た中で最悪の出来事の一つだ」と述べた。大谷の年俸はチームの年俸総額に占める額としては200万ドルではなく4600万ドル(約65億2000万円)として計算されるが、この代理人は「彼は史上最高の選手だ。彼のような選手が再び現れるのは100年後になる。(現在の価値をより高額にする)機会を逃したことに腹立たしく感じる」と述べた。4600万ドルでは大谷のは価値が正しく反映されていないという認識だ。

 一方、ライバル球団の編成本部長は「(契約は)想定内。大きな数字で衝撃的な価値を生み出すために見栄えよくしたのだろう。しかし、後払いを考慮した現在価値を考慮すると、予想された範囲内だ」と語る。別の球団の編成本部長は大谷が右肘手術の影響で来季は登板しないことを受け、「私が唯一可能性があると思ったのは、登板した際に出来高が付く契約だ。投げないのに5億7500万ドル(約815億円)から6億ドル(約850億円)をストレートで受け取るという考えはちょっと馬鹿げている」と指摘している。

 また、別の代理人は「誰もが批判したがるが、この契約はオオタニとアンドリュー(フリードマン編成本部長)の見事な動きであり、称賛されるべきだ」と評価。「オオタニは勝つことを望んでいるし、この契約で、さらにスター選手を加えることが可能になる。私はドジャースがヤマモト(山本由伸投手)とも契約すると思っている」と予測した。

 ドジャースの年俸総額を減らするために犠牲を払ったとされることについて、選手はそのような負担を負うべきでないと、ある代理人は疑問を呈した。「オオタニにとっても、他の選手にとっても悪い契約だと思う。最高のチームを築くことはオーナーシップが心配する問題だ。オオタニはドジャースの球団価値が上昇することで利益を得るわけではない。彼は本質的に球団の運営資金を提供すべきではない。でも彼はそれをやった。そして、彼はそのことに誇りを持っている」と述べている。今回の契約は、まさに議論百出の事態となっている。

(Full-Count編集部)

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