FA権行使から1か月…左腕が燕よりDeNAを選んだ理由 決め手になった「優勝」の価値

契約更改交渉に臨んだDeNA・石田健大【写真:町田利衣】
契約更改交渉に臨んだDeNA・石田健大【写真:町田利衣】

国内FA権を行使していたDeNA石田は4年4億円規模で残留した

 DeNAの石田健大投手が20日、横浜市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4年総額4億円規模(金額は推定)で契約を更改した。今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使することを11月14日に球団が発表してから1か月以上を経ての残留正式表明。熟考の末の決め手やチーム愛を明かした。

 自分の評価を聞いてみたい――。野球選手にとって“当然”ともいえる思いを胸に、石田はFA権を行使することを決めた。いくつかの球団が興味を示し、ヤクルトからは今回の契約と同等規模のオファーがあった。気持ちは揺らいでいた。

「ありがたいお言葉を聞けてうれしい気持ちと、これからまだまだやらないといけない気持ちが芽生えた中で、どこのユニホームを着て優勝したいか考えたときに、ベイスターズのユニホームで優勝したい、しないといけないという気持ちが強く、残留させていただきました」

 優勝への強い思い。一方で、ヤクルトは2021年から2年連続リーグ優勝を果たし、2021年には日本一にもなった。今季こそ5位に終わったが、勝ち方を知っているチームともいえる。だからこそ「もちろん考えました。優勝を経験しているチーム、選手が多くいるチームはどういう考えで野球をやっているか、もちろん気になりましたし、そういうのを経験することで今後の野球人生変わってくるのかなと考えました」と本音も吐露する。

 それでも「長年できていないチームを優勝させるということに意味があるのかなと思った。このチームが優勝できないわけがないと思っている。そういうチームが優勝するために野球をするのも、これから先の僕の人生に生きてくるのかなということも考えました」とチームへの深い思いを語った。

今季は23試合で4勝9敗「僕の勝ちと負けが逆転していれば順位もっと上に」

 顔を合わせれば同僚たちから、街を歩けばファンから、残留を願う声を多く掛けられた。それらも全て、石田の心を揺さぶった。「悩んだからこそ、愛されているなというのも感じました。一緒に野球をやりたいとか、そういう言葉が、僕が最終的に求めていたものなのかなと思いました」と微笑んだ。

 5年ぶり3度目の開幕投手を務めた今季は、23試合の登板で4勝9敗、防御率3.97。もちろん、満足のいく数字ではない。チームも一時は首位を走ったが3位に終わった。「自分が勝たなくてもチームが勝つ投球をするのが大事とずっと思っている。僕の勝ちと負けが逆転していれば順位はもっと上にいった。来年もそこは変わらない」と表情を引き締めた。

 沈黙を貫き、葛藤を続けた1か月以上の日々を「聞けて良かったことの方が多かったので、いい経験をしたなと思っています」と振り返った。「これから先、感謝し続けないと。それは結果を残すことだけかなと思っています。恩返しできるようにやらないという気持ちはさらに強くなりました」。チームの大黒柱として、石田はこれからもベイスターズのために腕を振る。

(町田利衣 / Rie Machida)

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