照れずに届ける“最後の言葉” 7年同僚の山本由伸は「絶対活躍する」…確信めく山岡泰輔

オリックス・山本由伸(左)と山岡泰輔【写真:荒川祐史】
オリックス・山本由伸(左)と山岡泰輔【写真:荒川祐史】

山岡泰輔「可愛かったですよ(笑)」…山本由伸、山崎颯一郎、榊原翼の存在

 7年間を過ごした“仲間”に、惜別の思いを伝える。オリックスの山岡泰輔投手が、今オフにポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦を目指している山本由伸投手の「努力と才能」に太鼓判を押した。海を渡る決意を固めた後輩に「(メジャーでも)絶対いけると思っている。同期入団で、ずっと見てきたというのもあるけど、今まで見てきた投手の中で現段階では1番凄い投手だと思ってます」。照れることもなく、淡々と絶賛の言葉を紡いだ。

 山岡は2016年ドラフト1位でオリックスに入団。同年ドラフト4位で山本も指名され、2人は7年間チームメートとして切磋琢磨してきた。支配下選手と育成選手を合わせて14人が指名された2016年ドラフトでの入団選手も、今オフの移籍などで「そーいち(山崎)と2人になりましたもんね、オリックスには」と、山岡は寂しげな表情を浮かべる。

 山岡、山本、山崎、黒木、澤田、榊原……。主に投手陣の活躍が目立った2016年の指名選手らを“神ドラフト”と表現するファンも少なくない。それでも山岡は「神なのは由伸だけでしょ? 神ドラフトって言ってもらえているのは由伸のおかげだから(笑)」と謙虚な姿勢で可愛がる後輩を立てた。

 瀬戸内高から東京ガスに進んだ山岡は、山本よりも3学年先輩にあたる。入団時の印象を問われると「由伸も、颯一郎もそうだし、翼(榊原)もそう。一緒のドラフトでしたけど、やっぱり彼ら(高卒入団の)3人は別格でした。高校生で、これだけのボール投げられて凄いなと思ってました」と振り返る。当時18歳だった3人は「可愛かったですよ(笑)。でも、心のどこかでは『いつか抜かれるんだろうな』と思ってましたよ。技術はもちろん、野球に対する“賢さ”もありますからね」。会話の節々から“野球少年”が垣間見えていた。

山本由伸が活躍できなければ「誰が通用するんですか?」

 7年間の思い出は「同じ年(2019年)にタイトルを獲れたことじゃないですか?」と即答。山岡がパ・リーグ最高勝率のタイトルを獲得すると、山本は最優秀防御率に輝いた。同期入団選手の同時受賞に「プレミア12にも一緒に出られた。(タイトル受賞は)同期で頑張れた。珍しいことだと思うし、凄く嬉しかったですよね」とニッコリと笑った。

 グラウンドから離れても「ゴルフ、よく一緒に周りましたね」と楽しい時間を過ごした。思い出せば、キリがなくなる7年間。18歳だった山本の成長を間近で見てきた山岡は「野球に取り組む姿勢が、ここ数年また変わってきているし、勉強になる。その姿勢を常にとってくれている。でも、改めてですけど。1年目から凄かったですよ。ポテンシャルを見ても、最初から違う存在だったので」としんみりと話す。

 新しいスタートラインに立つ背番号18へ、爽やかに金髪をなびかせながら最後のエールを送る。「絶対、活躍すると思う。ある程度の自信もあるだろうし、今まで以上のものを見せてくれるだろうから、楽しみしかないですね。通用しないことはないでしょう。じゃないと、誰が通用するんですか?」。答えは山本由伸が、教えてくれる。

○著者プロフィール
真柴健(ましば・けん)1994年、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年、日刊スポーツ新聞社に入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間、爆速で「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年2月からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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