ヤ軍、由伸獲り失敗は“忖度”が原因か ド軍上回る金額出せず…超えられないエースの壁

山本由伸(左)とヤンキースのゲリット・コール【写真:荒川祐史、Getty Images】
山本由伸(左)とヤンキースのゲリット・コール【写真:荒川祐史、Getty Images】

ヤ軍は10年3億ドル、ド軍は12年3億2500万ドルを提示した

 オリックスからポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指す山本由伸投手が、ドジャースと12年総額3億2500万ドル(約462億7000万円)の大型契約で合意した。米メディアが一斉に報じた。ヤンキースは3年連続沢村賞に輝いた25歳の獲得に自信を見せながらも、まさかの敗退となった。

 かつて“悪の帝国”と呼ばれたヤンキースが、FAの目玉だった山本争奪戦で敗れた。USAトゥデイ紙によると、ヤンキースは10年3億ドル(約427億1000万円)を提示。1年平均年俸は2700万ドル(約38億4000万円)のドジャースに対し、ヤンキースは3000万ドル(約42億7000万円)と上回ったが、年俸総額では屈する形となった。

 山本に対し、キャッシュマンGMが9月に来日し、ノーヒットノーランを達成したロッテ戦を視察。是が非でも欲しい存在だったが、3億2500万ドルを提示したドジャース以上の条件を提示できなかったのは、チームバランスを意識したからではないだろうか。今季サイ・ヤング賞を獲得したエース右腕ゲリット・コールの存在だ。

 コールは20勝5敗、防御率2.50と圧巻の成績を残した2019年オフにアストロズからFAとなってヤンキース入り。契約金は3億2400万ドル(当時353億円)だった。まだメジャーで1球も投げていない投手(山本)が通算145勝の絶対的エースの条件を超えてしまうのはどうなのか……。多かれ少なかれ、チーム内に不協和音が生まれたはずだ。

 ドジャースは、そんなヤンキースのチーム事情も察していたはず。コールの大型契約を100万ドルだけ上回る条件を出したのは、まさに“試合巧者”に見える。しかも契約金を破格の5000万ドル(約71億5000万円)に設定。来季から12年間に渡って平均年俸2700万ドル(約38億6000万円)を支払うことで、チーム総年俸を抑えるとは、かなりの“やり手”だ。

 仮にヤンキースにコールへの忖度がなく、本気のマネー合戦を挑めていれば……。もしかしたらピンストライプに身を包む山本の姿が見られたかもしれない。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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