元ドラ1が開花させた“潜在能力” 侍で好投の20歳左腕も…有望株続々の日ハム投手陣

日本ハム・根本悠楓(左)と田中正義【写真:荒川祐史】
日本ハム・根本悠楓(左)と田中正義【写真:荒川祐史】

日本ハムの投手陣の活躍を振り返る

 エスコンフィールド初年度、優勝を目指して挑んだ2023シーズン。日本ハムは60勝82敗1分、勝率.423で2年連続の6位に終わった。本記事では投手編、野手編に分け、シーズンを振り返っていく。今季はパ・リーグ最多、中日と並んで12球団最多タイの3投手が規定投球回に到達。昨季運用に苦戦したリリーフは、50試合登板した3投手がブルペンを支えると、ソフトバンクから移籍してきた田中正義投手が守護神に定着した。

 結果的には、リーグ3位のチーム防御率3.08と、昨季の防御率3.46(同5位)から大きく改善。106被本塁打(同2位)、942奪三振(同5位)と課題もみられたが、リーグ最少の363与四球(2位と42個差)と健闘した。

 今季は上沢直之投手、加藤貴之投手、伊藤大海投手が規定投球回に到達。上沢は4月5試合の登板で防御率4.50と、苦しいスタートとなったが、5月17日に9回120球、4安打2四球9奪三振で自身5年ぶりの完封勝利をマーク。最終的には、リーグトップの170回を投げ、同2位の2完封。同7位の防御率2.96と好成績を残した。

 昨季、11与四球でシーズン最少与四球数のプロ野球記録を72年ぶりに更新した加藤貴は、自身初の開幕投手に抜てき。2試合連続で7回3失点も敗戦投手となったが、4月14日に9回2失点完投で今季初勝利をマークした。

 5月には4先発30イニングで3勝0敗、防御率0.30で自身初の月間MVPを受賞。最終的にはリーグ3位の163.1回を投げ、同6位の防御率2.87の成績を残した。白星は7勝と伸び悩んだものの、与四球数は規定到達者の中で最も少ない「16」、K/BB5.19と制球力は健在。今オフには、国内FA権を行使せずに残留を決めた。

 伊藤は、シーズン開幕前のWBCに出場。イタリアとの準々決勝、5回2死1、3塁から登板して見事な火消しを見せるなど、世界一にリリーフとして貢献した。帰国後は2軍での調整登板を経て、開幕5試合目に先発登板。5回無失点の投球を見せたが、以降3試合で崩れ、4月は防御率5.82と苦しんだ。しかし、5月2日に7回1失点の好投から状態を上げると、8月から9月にかけて3試合連続完投(うち1完封)を記録。最終的には、ルーキーイヤーから3年連続の規定投球回に到達した。

2024年に向け、山崎福也や助っ人2投手らを補強

 創価高校、創価大学で7年間同級生だった田中正と池田隆英投手は北の大地で7年ぶりにチームメートとなり、ブルペンを支えた。田中正は、海外FA権を行使してソフトバンクへ移籍した近藤健介外野手の人的補償として入団。リリーフとして開幕1軍入りを果たすと、4月半ばに守護神・石川直也投手の離脱を受け、その代役に抜てきされる。

 4月26日にプロ初セーブをマークすると、5月7日にはプロ初勝利。その後もクローザーとして活躍を続け、監督推薦により、自身初のオールスター出場も果たした。後半戦は失点する場面が目立ったが、1軍でシーズンを完走。47試合登板で2勝3敗8ホールド25セーブ、防御率3.50と、潜在能力を開花させた。

 池田は開幕を2軍で迎えたが、4月5日に1軍登録。火消し、回またぎ、セットアッパーなど、さまざまな起用に応え、8月・9月は17試合登板で防御率1点台と、8回の男に定着。最終的には自己最多51試合の登板で、リーグ4位タイの25ホールド、防御率2.86と、飛躍の1年を送った。

 リリーフ陣はほかにも、玉井大翔投手が3年連続50試合登板で防御率2.63、河野竜生投手が自己最多の50試合登板、防御率1.70の好成績をマーク。また、プロ5年目の福田俊投手が29試合の登板で失点「0」、シーズン途中にトレードで加入した山本拓実投手が26試合で防御率1.50と活躍を見せた。

 まだ上沢の去就は決まっていないが、今オフにFAした山崎福也投手(前・オリックス)、吉田輝星投手とのトレードで黒木優太投手(前・オリックス)を獲得。新助っ人では、最速162キロのアニュラス・ザバラ投手、MLB通算35試合登板のパトリック・マーフィー投手を補強した。

 さらに、後半戦で3勝を挙げ、「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」で日本代表にも選出された20歳の根本悠楓投手や、抜群の制球力で存在感を示した金村尚真投手など、若手の有望株も多い。投手層に厚みが出てきたなかで迎える2024シーズンが楽しみだ。

(「パ・リーグ インサイト」東海林諒平)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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