オリックスはなぜ強くなった? 元ライバルが予感していた黄金期…由伸抜けても「強敵」
“熱男”こと松田宣浩氏がオリックスのリーグ4連覇に太鼓判
今季限りで現役を引退した元巨人の松田宣浩氏が28日、地元の滋賀県大津市のマイネットスタジアム皇子山で開催された滋賀県出身のプロ野球選手たちによる野球教室に参加。ソフトバンク時代にしのぎを削ったオリックスについて「山本由伸らは抜けるが(他球団にとっては)強敵はオリックス。勢いがあり4連覇、5連覇するチャンスはある」と、黄金時代の到来を予測した。
ホークスに17年間在籍したベテランは、今季の戦いの中で前半戦、チームに勢いをつけた中京高校の後輩で滋賀県出身の茶野篤政外野手や、初の首位打者に輝いた亜細亜大学の後輩・頓宮裕真捕手の活躍について言及。
「大学を出て独立リーグを経てプロ入りし、僕は当初、このまま突っ走って新人王を獲るのではないかと思っていました。少し息切れしましたが、プロの世界はそんなに簡単なものではないし、甘くはない。そういうことを茶野君自身も気付いたと思う。結果も出したし、自信を持って臨めると思う」と期待を寄せた。
また、大学の後輩の活躍については「頓宮のおかげで『熱男塾』も存続できた(笑)。今年1月の自主トレから『長打よりも率を残したい』と口にしていたので、首位打者はそういう意識の表れかなと思う」と新たな取り組みの成果を評価した。
2014年のシーズン最終戦で優勝を決めるサヨナラ打「18年間で一番の当たり」
オリックスとの戦いには、特別な思いもある。2014年シーズン、ソフトバンクはシーズン最終戦でサヨナラ勝ちし、3年ぶりにリーグ優勝を果たしたが、殊勲打を放ったのが松田だった。「18年間で一番の当たり。今でも左中間に飛んでいく打球やバットの感触は忘れることができない」と振り返るが、会心のバッティング以上に痛感するのが「勝つことの大切さ」だった。
2014年はペナントレースをリードしながら、9月に4連敗、5連敗を含め8勝14敗1分けと失速し、オリックスの追撃を許した。それだけに「勝つと負けるのでは大きな違いがあります。最終戦に勝ち切ったことで、その後、何度も日本一になることができました」と、最終戦の勝利の持つ意味を語る。
3年ぶりにリーグ優勝を果たしたソフトバンクは2014、2015年に日本一を奪還し、2017年から4年連続して日本シリーズを制した。一方、オリックスは2厘差で優勝を逃した2014年の2位以降、6年連続Bクラスに甘んじ、2021年まで25年間、優勝から見放された。
「勝つことで、選手には見えない自信がついてきて、力も出てくるのです。今のオリックスには、しっかりと全員で勝ち切ろうという姿勢が感じられます」。自らの経験を基にした“熱男”の静かな分析だ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)