大谷翔平は「努力じゃない」 覚醒前夜…コーチが仰天した“ナイター翌日の行動”

ドジャース・大谷翔平(写真は日本ハム在籍時)【写真:編集部】
ドジャース・大谷翔平(写真は日本ハム在籍時)【写真:編集部】

2014、15年に日本ハムコーチ…柏原純一氏が見た大谷翔平「規格外だったよ」

 すべてが規格外だった。野球評論家の柏原純一氏は2004年から古巣である日本ハムのプロスカウトやアマスカウトを務めた。2017年で退団したが、その間、2014年と2015年の2シーズンは1軍打撃コーチとしてユニホームを着た。日本ハム・大谷翔平投手(現ドジャース)のプロ2年目、3年目に遭遇したが、すでにレベルが違っていたという。柏原氏はそんな大谷との思い出、さらには令和の今を見据え、愛弟子の日本ハム・新庄剛志監督への熱い思いなどを語った。

「すごかった」。柏原氏は打撃コーチ時代に見た、かつての大谷について、まずそう口にした。「例えば彼はピッチャーの練習もあるから、キャンプの時の特打は1回だけだったけど、15分くらいやって『じゃあ翔平、ラスト行こうか』って言ったら『わかりました。バックスクリーン、越します』って言うんだよ。で、バックスクリーンを越すんだからね、一発で。考えられないよ。ホント規格外だったよ」。

 野球に取り組む姿勢に驚かされたという。「彼がウエートとか、室内でバッティング練習をするというのは、僕らがコーヒーを飲んだり、水を飲んだり、飯を食ったりするのと一緒なんだよ。努力じゃないもん。彼には普通のことだからね。(日本ハムの時)北海道から東京に飛行機で移動して、バスに乗って宿舎に移動するけど、彼はそういう時でも(練習施設がある千葉県)鎌ケ谷に寄って練習してから入る。それも彼には普通。しんどいとかじゃないんだよ」。

 それが大谷の20歳の頃。「彼はね、3年後、5年後、10年後を考えて日本ハムの時からやっていた。ウエートトレとかもそうだよね。遠征先でナイターの次の日でも(午前)10時からウエートに行って鍛えていた。どこに行ってもその場所はちゃんと探していた。パワーもあって柔軟性もある。足も速いし、守備もうまいからね。身のこなしが違いましたよ」と柏原氏はとにかくうなるばかり。2024年シーズンについても「大谷はほっといても大丈夫ですよ」と断言する。

野球評論家の柏原純一氏【写真:山口真司】
野球評論家の柏原純一氏【写真:山口真司】

新庄ハムへ「勝負の年。チャンスがないことないと思いますよ」

 一方で柏原氏は「問題は新庄だよ」と阪神コーチ時代の愛弟子のことを心配そうに話す。「2023年の優勝チームを見たらセ・リーグもパ・リーグもピッチャーを含めた守りがいいところが勝っているよね。となるとどうだろう。日本ハムを強くするにはショート、セカンド、センター、ピッチャーだよね。監督3年目だからね。新庄には頑張ってほしい。もうマスコミ受けはいいから、どうにかして勝たないとね」とエールも送った。

 2024年がプロ7年目となる清宮幸太郎内野手も気になる選手のひとり。「入った頃に比べたらスローイングが大分よくなってきた。打つだけじゃなくて、走ることにも守ることにも興味を持てば、もっと視野が広がって野球がうまくなると思う。そしたらバッティングもよくなるよ」。柏原氏は恩師・野村克也氏の指導によって、走攻守すべてで成長した。新庄監督も阪神選手時代、柏原氏の指導によってステップアップしていった。

 柏原氏が選手としてコーチとしてお世話になった阪神は2023年シーズン、日本一に輝いた。「阪神はセカンド中野(拓夢)、ショート木浪(聖也)、センター近本(光司)がしっかりしているし、まぁ2024年もAクラスは間違いないでしょ、優勝だってね」。日本ハムも、そんなチームを目指してほしいということだ。

 現在、野球評論家として活動中の柏原氏だが、その野球人生を振り返るなかで“師弟関係”はキーワード。恩師の野村克也氏への感謝の気持ちは当然ながら、愛弟子の新庄監督についても特別な思い入れがあるのだろう。「日本ハムはこの2年で、万波(中正外野手)とか若い選手が育っていますよ。でもチームが勝っていかないことには選手の上達はない。勝つためにどうしたらいいかは新庄の手腕。勝負の年。チャンスがないことはないと思いますよ」と言葉にまた力を込めた。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY